いったい何のための会見だったのか? 今年はそう思わせる会見ばかりが目に付いた。きっちりと謝罪するかと思いきや、言い訳をしたり言葉を濁したり、挙句に責任転嫁をしてみたり……。その結果、火に油を注ぐように非難や批判が集中し、メディアは面白おかしく詳細にその経緯を取り上げた。そんな会見を開いたオジサンたちは、いずれもその世界では権力者ばかりだった。
本心から謝罪する気があるかどうか
中でも目立ったのは、悪質タックル問題で日大アメフト部監督を辞任した内田正人氏、伊調馨選手らへのパワハラ問題で辞任した至学館大学レスリング部前監督で、日本レスリング協会前強化本部長の栄和人氏、そして不正判定や助成金の不正流用等で辞任した日本ボクシング連盟の前会長・山根明氏の三人衆だ。
問題発覚後、どんな姿や様子でメディアに登場するのか、その時の第一印象は重要になる。たった数秒間の態度や振る舞い、言動だけで、本心から謝罪する気があるかどうか見ている側は感じ取るからだ。
「僕の中では一切やっていないと思います」
栄氏の場合、一度はカメラの前で堅い表情のままパワハラを否定した。ところがその後、謝罪会見を開くまでに時間がかかる。突如、設定された会見は、全日本選抜選手権当日の会場、それも時間制限もあり。体調を崩していたのが遅れた理由というが、いくらなんでも急だった。
時代は変わっていくのに自分は変われないオジサン
「一連の問題は私の責任でございます」
そう謝罪の言葉を口にしたものの、マイクの前に立った内田氏はピンクのネクタイ姿。少し間を開けて息を吸い込むと「日大監督を辞任致します」と続け、記者たちを見回す。謝罪というより辞任が会見目的のような印象が強い。井上奨コーチ(当時)とともに開いた会見では、回りくどい表現を繰り返し弁解ばかり。最後は日大広報の司会者がブチ切れるというお粗末な会見になった。
「全部がウソや」
「カリスマ山根言われてますから」
山根氏がメディアに姿をあらわした時は、サングラスをかけていた。謝罪にふさわしくないというより、自分が悪いなんて微塵も思ってもいないことは一目瞭然だ。時代は変わっていくのに自分は変われないオジサンは、地位と力を守るため、睨んだり威嚇したり、自らを誇示するしかない。