低予算の旅行者ほど重税に
どのような税も完全な公平性を保つことはできないが、国際観光旅客税では、訪日外国人向けの施策に使われるコストを、日本を出国して海外に行く日本人が負担しなければならないという構図がある。この点については税の導入にあたって有識者会議が開かれた際も問題になったようだが、租税条約の「国籍無差別」条項との関係上、日本人、外国人に等しく負担を求めることが前提となった(https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/201808/201808e.html)。
もう一点は、この税は低予算の旅行者ほど重税となることだ。昨今は日本発のLCC路線が充実するようになり、セールでは東京と香港を8000円台で往復できるようなケースも出てきている。もちろん羽田空港や成田空港の空港使用料も含まれていてこの価格だ。その場合、1000円の税が課されるとトータルの航空券代が10%以上値上がりすることになる。筆者は先日那覇から台湾の高雄までLCCのPeachを利用したが、航空券代は2999円。この場合1000円の国際観光旅客税が課されると、33%もの値上がりを余儀なくされることになる。
その一方、日本から欧州まで260万円以上するファーストクラスの航空券を購入した場合、1000円の税が付加されても、全体に占める割合は0.04%にも満たない。正直、誤差の範囲内といってよい。
1月6日までに発券してしまえば、徴税は免除される
今回の新税導入で最もワリを食うのは、「安近短」で気軽に海外を楽しみたい日本人旅行者だということになる。特に年間に何度も海外に出かける人にとっては、税の負担感はかなり大きくなるだろう。
ちなみに2019年1月6日までに発券してしまえば、1月7日以降に出国することが確定していても、徴税は免除される。そのため、予定がある程度かたまっているのであれば、2019年1月6日までに駆け込みで発券してしまうのが賢いといえる。ただし、オープンチケットを購入して、1月7日以降に出国日を決める場合や、1月7日以降に出国日を変更する場合は、税が徴収されてしまうので注意が必要だ。
なお、2019年2月1日以降に発券される航空券については主要航空会社から燃油サーチャージの値上げが告知されている。たとえば日本航空や全日空で日本と欧米路線を往復する場合、2019年1月31日までの発券なら燃油サーチャージが28000円のところが、35000円と25%、7000円も引き上げられる。これで、1月7日以降に導入される国際観光旅客税の徴税とあわせてダブルパンチになる。その意味でも旅行に出かける予定があるのであれば、いま決断し、発券してしまうことをおすすめしたい。