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サンショーを得意とする選手は「下り」に強い

 中島と同じ東海大で復路のポイント区間である7区にエントリーされた阪口竜平(3年)も、今季のトラックシーズンはサンショーで活躍を見せた。積極的な走りで関東インカレ、日本選手権と常に先頭をうかがう気概を見せ、ともに上位に入賞。1500mでも活躍できるスピードを活かしたハードリングは迫力満点で、ラストのキレも十分だ。あとは箱根特有の距離にどう対応できるかが課題だ。

 今季は夏に足首を故障した影響で走り込みが不足していたものの、11月の上尾ハーフマラソンでは1時間2分台の好記録で復活をアピール。箱根路では持ち味の積極性を失わず、いかに流れに乗ったクレバーな走りができるか。

3000m障害のハードルは重みがあり、ランナーが接触しても倒れない ©iStock.com

 一般的にサンショーを得意とする選手は、ロードでもアップダウン、特に「下り」に強いと言われている。中距離を走るスピードと、坂でかかる負担に耐えうる脚力の両方を兼ね備えた選手が多いことが理由だろう。

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 奇しくも前述の4人は、いずれも“坂”がポイントとなる区間にエントリーされている。彼らのアップダウンの捌き方に注目して箱根路を観戦するのも面白いかもしれない。

サンショーから箱根へ、そして世界へ

 箱根駅伝のキーワードのひとつに「箱根から世界へ」というものがある。箱根駅伝の経験を通じて、選手たちに世界の陸上競技の舞台で活躍してほしい――そんな先人の想いが込められた言葉だ。

 ところが近年、メディアでこの言葉が語られるのはマラソンを舞台としているケースが大半だ。その裏には「トラックレースではアフリカ勢を中心とした海外のアスリートに敵うわけがない」という無言の主張があるように感じる。

 サンショーという種目でも、その地味さや世界レベルで戦う難しさも相まって、大学卒業後に本格的に種目を続ける選手の数は非常に少ない。

©iStock.com

 ただ、例えば2016年のリオ五輪、2017年の世界選手権ではアメリカのエヴァン・イェーガー選手がサンショーでメダルを獲得しているように、非アフリカ勢が世界で戦える中長距離競技は決してマラソンだけではないと思う。特に走力だけでなく、ハードル飛越の技術が介在する余地のあるこの種目は、日本勢にも大きな可能性があるように感じる。

 だからこそ、ここまでに名を挙げた選手たちが「マラソンだけでなく、この種目で世界に挑戦してみたい、戦いたい」と思ってくれるならば、とても嬉しいことだと思う。

 サンショーから箱根へ、そして世界へ。

 彼らのようなトップ選手が、マラソンだけでなく、色々な種目で世界に挑戦したいと思えること――それこそが、さらなる日本長距離界の活性化につながるのではないだろうか。