文春オンライン

大補強の成功例“2012年の原巨人“を再現するために何が必要か

文春野球コラム ウィンターリーグ2019

2019/01/05

不安要素は内海の不在と阿部の加齢

 不安要素となりそうなのが、内海の不在と阿部の加齢だ。

「みんなジャイアンツファン辞めそうになったことある?? 私はついて行く自信がなくなってきました……内海さーん涙」

 内海の西武移籍が決まった時、友人の女の子はSNSにこう書き込んでいたが、チームにとっても内海流出のインパクトはかなり大きいとみる。12年のキャンプで内海は、エースの座を争う立場だった新加入の杉内に俊兄とあだ名をつけ、チームに溶け込む手助けをした。翌年、監督の甥という難しい立場で加入した菅野智之に対しても壁を作らずに受け入れ、ルーキーイヤーから活躍できる下地を作った。先日、野球賭博で球界を追われた笠原将生氏がTwitterで内海の移籍について「他球団の血を入れたら絶対ダメな人を持ってかれた。もうぐじゃぐじゃやな。」と発言し、「ぐじゃぐじゃにした張本人が何を言ってる」と炎上していたが、彼の言うことも一理あって、内海のリーダーシップとコミュニケーション能力に引っ張られたあの頃の巨人投手陣の雰囲気は素晴らしかったと思う。仮に内海が残っていれば、岩隈が活躍する可能性もさらに高まったはずだ。阿部に関しても同様で、当時は村田のような個性派が加入しても、圧倒的な実力とキャプテンシーでまとめてしまうカリスマ性があったが、40歳で捕手復帰する今の阿部にそこまで求めるのは酷である。

ADVERTISEMENT

阿部慎之助と内海哲也 ©文藝春秋

 今季、当時の阿部や内海のような役割を果たせる可能性があるのは、言うまでもなくエース菅野とキャプテン坂本しかいない(昨年ブレークした岡本はまだプロップスが不足している)。菅野が上原や岩隈に遠慮せず、投手陣のリーダーとして力を発揮できるか。坂本が2年連続MVPの丸やクセの強そうなゲレーロ、新外国人ビヤヌエバらに負けず、グラウンド内外でチームナンバーワンプレーヤーとしての存在感を見せることができるか。原巨人の浮沈のカギは意外と、生え抜きの二人がチーム内の競争に勝てるか、という点にある気がする。

※「文春野球コラム ペナントレース2019」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/-/10292でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。

大補強の成功例“2012年の原巨人“を再現するために何が必要か

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー
文春野球学校開講!