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2019/01/28

サイドスローは『あし体』の投げ方の初期段階だった

 あれこれ説明するとどんどん脱線するので、ここは松本に話を戻そう。

 松本は『あし体』だと分かった。同タイプの右投手。ボールを投げるためには体を左回転させなければならない。先ほどの骨盤の形を思い出してほしい。左側がかぶっている。つまり、それは「壁」が出来ているということで、開いている側に比べれば回しにくい方向だということを意味している。

 回りにくい腰を、『あし体』の右投手は自分で回しに行かなければならない。だから、例えば左手のグラブは胸の前に抱えるのではなく、肘を回してグッと後ろに引く。そして腰は横回転を意識する。人間の体は縦よりも横の方が回しやすいのだ。

 勘のいい読者の方ならば、もうお分かりだろうが、『うで体』の右投手の場合は左回転しやすい体だから、グラブの左手でしっかり止めて、腰も縦回転を意識するのが良いのだ。

 もちろん他にも要素はあるが、腰の回転は大前提となる。

 松本は鴻江合宿に参加するまで、このような考え方など知る由もなかったし、意識をしたこともなかった。『あし体』にもかかわらず、『うで体』の要素を含んだ投げ方(体の使い方)をしていたのだ。

「自分の体に合わない体の使い方をすれば、自身の持つ本来の能力を発揮できないのはもちろん、故障につながります。この合宿では自分を知り、自分の進むべき道を見つけることを1つのテーマにしています。迷いは上達の敵ですから」(鴻江氏)

 つまり、松本は『あし体』の投げ方の初期段階として、腰を横回転させることを意識していた。初めは極端に表現することが大切である。たしかに捕手を座らせる前の立ち投げの段階ではサイドスローにも映った。

 しかし、鴻江氏が「投球を重ねる中で、徐々に肘から先が上がっていく。特に手首はしっかりと立つようになり、球に伝わる力は以前とは段違いに変わります」と説明するように、捕手を座らせて投げるとサイドスローというより、スリークォーターの投球フォームになっていたのだった。

 これこそ松本が見つけた、自分の進むべき道なのである。

鴻江トレーナーに指導を受けている様子 ©田尻耕太郎

 今回、反論コラムを書き綴ったわけだが、べつに「サイドスロー報道」に喧嘩を売るつもりはない。彼らもまた、ホークスを近くで取材する仕事仲間だ。普段の取材姿勢だってよく知っている。ただ、思った以上に、SNSなどで賛否両論が盛り上がっていた。

 まもなく始まる春季キャンプ。松本には迷うことなく、己を信じて突き進んでほしいのだ。

 もう一度言う。迷いは上達の敵だ。自分を知り、自分の進むべき道を見つければ、人は自分の能力のなかで一気に成長を果たしていくのだ。

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