企業の不正などを検証する第三者委員会については、日本弁護士連合会がガイドラインをつくっている。設置にあたっては、調査の範囲や時期をステークホルダー(今回は「読者」も含まれる)に開示するよう求めているが、デイズジャパンの対応はそれにまったく背くものだ。
委員長に就いたという金子氏に確認を取ろうと「職場のハラスメント研究所」に電話すると、スタッフが「取材は(デイズジャパンの)弁護士が対応する」と返答。金子氏の委員長就任が事実かさえ、確認させてもらえなかった。
本来、第三者委員会は公正性や信用を担保するため、調査を依頼された会社から可能な限り独立していることが大事だ。デイズジャパンの陰に隠れてメンバーさえ明らかにしない「第三者」委員会は、果たして依頼会社から独立していると言えるだろうか。
残った取締役は「妻」と「盟友」
デイズジャパンとしての意思を決定する「取締役会」の構成からも、広河問題に容赦なく臨む厳しさは期待できない。
同社の取締役は現在3人。広河氏の解任を受け、代表取締役(およびDAYS発行人)に就任したのが、デザイナーの川島進氏だ。DAYS創刊号からアートディレクターをつとめ、デイズジャパンでは設立当初からの取締役であり株主でもある。
その川島氏と広河氏の付き合いは30年以上前にさかのぼる。講談社が発行していた時代の「DAYS JAPAN」(1988~90年)で広河氏とともに仕事をし、その後も、「写真記録パレスチナ」(02年)、『子どもに伝えるイラク戦争』(04年、石井竜也氏との共著)、『暴走する原発』(11年)など、広河氏の著書の多くで装丁やデザインを担当。広河氏とは「盟友」といえる関係なのだ。
川島氏以外の取締役の1人は、広河氏の妻だ(2018年11月20日に就任)。大手出版社に勤務する編集者で、広河氏の著作の編集も担当している。プライベートでも仕事のうえでも広河氏と利害関係が深い人物が、デイズジャパンの意思決定に大きく関わっているのである。