3人目の取締役は決別を決意した
残る1人の取締役は、先ほど触れた講談社の「DAYS JAPAN」で編集長をつとめた土屋右二氏だ。デイズジャパン設立時からの取締役で、「広河君のことは同志だと思っていた」と話すが、性暴力の報道を受けて決別を決意。デイズジャパンには1月、取締役辞任の通知を出したという。「川島君からは『取締役が3人必要なので辞任は認められない』と言われたが、もうデイズジャパンには一切関わらない」と話す。
現在、この3人(実質的には広河氏と近い2人)が広河氏による性暴力とセクハラ、パワハラの実態をつまびらかにする立場のデイズジャパンを動かしているのだ(川島氏と、広河氏の妻にも取材を申し込んだが、応じてもらえていない)。
「性暴力検証」最終号は発売延期
この原稿を書いている2月中旬、デイズジャパンはDAYS定期購読者に「最終号の発売日延期のお知らせ」と題した書面を送付している。そこでは「調査・検証記事をどのように作っていくのがよいか話し合いを続けた結果、発売を1か月延期にする」とし、最終号は3・4月合併号として3月20日に発売すると告げている。
デイズジャパンの現状から判断すると、この延期は検証が順調に進んでいて、時間が足りなくなっているためではないだろう。逆にほとんど何もできておらず、ともかく時間を稼ぐための苦しまぎれの策なのではないか。
みてきたとおり、いまの検証態勢では、会社の構造・体質に切り込むどころか、広河氏の加害の実態に迫ることすらできないと予測できる。
デイズジャパンは痛みを引き受ける態勢と覚悟が必要であり、検証委員会は独立心と気概が必要だ。それがなければ、今後同社から公表される検証は、広河氏と同社に有利な情報を発信するだけの、マイナスの価値しかない。