Jリーグ、ヴィッセル神戸の補強が止まらない。一昨年は元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキー、昨年はスペイン代表のアンドレアス・イニエスタ、今年は元スペイン代表のダビド・ビジャである。3人の推定年俸を合算すると約41億円。こんな大盤振る舞いできるのは、親会社、楽天の業績が好調だからだ。
楽天が2月12日に発表した2018年12月期の売上収益(売上高)は前期比17%増の1兆1014億円で、ついに1兆円企業の仲間入りを果たした。がっつり稼いでドカンと使う。楽天はプロ野球に参入した2004年の勢いを取り戻しつつある。なお、2004年度の通期決算では、売上高は約456億円だった。
ヴィッセルの前線にはワールドクラスの選手3人
2月10日の沖縄。曇り空だが気温は20度に近く、東京に比べれば格段の暖かさだ。美しい天然芝に覆われた金武町フットボールセンターは同センター始まって以来という4000人の観衆に囲まれた。
ポドルスキーがドリブルで抜け出し、イニエスタに鋭いパス。イニエスタがワンタッチでいなすと、ビジャが飛び込んでゴール。観衆から「おおっ」とため息が漏れる。W杯の優勝経験を持つ3人のプレーは、文字通り次元が違った。
37歳のビジャはスペイン代表として98試合に出場し、歴代最多の59得点を叩き出したストライカー。2010年から13年までFCバルセロナでイニエスタとともにプレーしたこともある。昨シーズン神戸入りしたイニエスタ、その前の年に加入したポドルスキーと、ヴィッセルの前線にはワールドクラスの選手を3人並べた。さらに中盤にはセレッソ大阪から移籍してきた日本代表の山口蛍が加わる。
金武町フットボールセンターでは今年、浦和レッドダイヤモンズや北海道コンサドーレ札幌もキャンプを張ったが「フェンスの周りの人垣が二重になったのはヴィッセルだけ」(金武町関係者)。スーパースター3人の集客効果は抜群である。
ヴィッセルもイーグルスも同じホテルに宿泊
歩いて5分のところにある金武町ベースボールスタジアムでは東北楽天ゴールデンイーグルスがキャンプを張っていた。こちらもバックネット裏や内野席には大勢のファンが集まっている。お目当ては石井一久ゼネラル・マネージャーが自ら口説いて獲得した元西武ライオンズの大砲、浅村栄斗だ。投手では元ヤクルトの由規を獲得し、米メジャーのツインズでプレーしていたアラン・ブセニッツとも契約した。
ヴィッセルの選手もイーグルスの選手も同じホテルに宿泊しており、10日の夜には三木谷浩史氏の発案で「合同懇親会」が開かれた。冒頭では「勝者のメンタリティー」をテーマにしたトークショーもあり、ビジャ、ポドルスキー、イニエスタの3人と、イーグルスの浅村、則本昂大、石井が登壇した。
日本ハムもJリーグとプロ野球の両方を経営している(セレッソ大阪と北海道日本ハムファイターズ)が、この数年のヴィッセル神戸とイーグルスの補強は群を抜いている。それを可能にしているのが親会社、楽天の資金力だ。