日本サッカー界は今、空前の「イニエスタ景気」に沸いています。

「イニエスタ、誰?」という方々に簡単に説明しますと、アンドレス・イニエスタはスペインリーグのFCバルセロナからヴィッセル神戸に移籍してきたプロサッカー選手。ポジションは中盤で高い技術と優れた戦術眼を持つクレバーな選手です。

スペイン代表としてロシアW杯にも出場したイニエスタ ©JMPA

 バルセロナと言えばメッシを擁し、リーグ戦25回、UEFAチャンピオンズリーグ5回優勝など、数多くのタイトルを獲得し、同じリーグのレアル・マドリーと双璧をなす世界的なビッグクラブです。

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 イニエスタはその下部組織出身で、バルセロナ一筋で442試合に出場。スペイン代表としても2008年欧州選手権、2010年南アフリカW杯、2012年欧州選手権でのスペイン優勝に中心選手として大きな貢献をしました。日本代表がベスト16に進出したロシアW杯にも出場した世界的レジェンドで一時移籍が囁かれた時も誰も本当に来るとは思わなかったぐらいの本物中の本物。3年間契約で年俸32億円はJリーグ史上最高額です。

ホームは満員、アウェイも大入袋

 そのイニエスタが日本デビューを果たしたのが7月22日ホームでの湘南戦。後半14分から途中出場しましたが、彼がボールを持つ度に「おぉー」「わぁー」という感嘆の声が満員のスタジアム内に響きました。神的なボールタッチ、美しいパスを見たファンはSNSでその興奮を伝え、メディアはそのショーを再三流しました。その広告宣伝効果は計り知れず、これ以降、ホームは連日満員で15日の広島戦は平日のナイターだったにもかかわらず2万5千人を越えました。ホームだけではなく、アウェイも、不在だったFC東京戦は大入り袋が出され、つづく湘南戦もチケット完売という人気ぶりです。

DFの渡部博文とハイタッチ ©AFLO

 神戸の昨年のホーム17試合の入場者数は31万625名で1試合平均入場者数は1万8272名。今年はホーム11試合の平均で1万9950名、これから2万5千人ペースが続くと、平均は2万2千人近くになります。過去最高の入場者数の昨年を越え、35万人を越える勢いです。チケットにとどまらず、ユニフォームやグッズも売れに売れ、8番のユニフォームは生産が追い付かない状態です。2017年度の神戸の営業収益は52億3700万円ですが、このままいけば2018年は17年営業収益トップである浦和の79億円に迫りそうです。

 また、イニエスタは世界中に7400万人のSNSのフォロワー数を誇り、中にはメッシを始め元チームメイトもいます。初ゴールを決めた時はメッシを始め、世界中のスター選手から賞賛の声が届きました。世界的な影響力を持つ選手の配信が神戸というチームの知名度を世界レベルに押し上げ、日本では新たなファンを続々と生み出しているのです。