エルニーニョ(神の子)と呼ばれる男が、日本サッカー界にやって来た。
元スペイン代表のフェルナンド・トーレスだ。役どころはFW。もっと言えば「点を取ってナンボ」のストライカーである。
サッカーファンなら、その名を知らぬ者はまずいない。そんな大物が今夏、J1クラブのサガン鳥栖に加入したわけだ。
気になる年俸は5億2000万円以上?
スペインの強豪アトレティコ・マドリードに在籍していたが、4月9日に今シーズン限りでの退団を表明。それからアメリカのシカゴ・ファイアー、中国の北京人和、オーストラリアのシドニーFCから獲得オファーが届いている。
そのなかで、真っ先に声をかけたのが鳥栖の竹原稔社長だった。この熱意が、最終的に大物の心を動かしたらしい。事実、トーレス本人がこう話している。
「彼らが最初に関心を示してくれた。そのことが、私にとって、とても重要だった」
年俸は公表されていない。当初報じられていた金額は推定400万ユーロ。日本円にして約5億2000万だ。前述したクラブとの争奪戦となり、交渉が長引いた経緯などを考えに含めると、もう少し上積みされている可能性もある。
もっとも、マネーゲームに勝って、獲得にこぎ着けたわけではない。それこそ、中国勢はこのクラスの選手を獲得するにあたって、カネ(資金)に糸目をつけないからだ。大金を蹴ってまで、鳥栖を選んだ――そう言っても差し支えあるまい。
10代でスペイン代表入りした「神の子」
ところで、このトーレス、いったい、どれほどスゴイ選手かご存知だろうか。
10代のうちにスペイン代表でデビューを飾った神の子も、すでに34歳。すっかりベテランである。
アトレティコの下部組織で育ち、瞬く間に頭角を現した早熟の点取り屋だ。海千山千のイタリア守備陣を出し抜いて、代表初ゴールを決めたのも、まだ20歳のときだった。そういうわけで(?)選手としての最盛期を迎えたのも早かった。
ちょうど10年前だ。アトレティコを離れ、イングランドの名門リバプールに在籍していた頃である。2007-2008シーズンにゴールラッシュを演じ(1シーズンで33得点!)、勢いを駆って臨んだ2008年のEURO(ヨーロッパ選手権)では、強豪ドイツとのファイナルで決勝点をマーク。スペインを見事に優勝へ導いた。