連日熱戦の続くロシアワールドカップだが、ある意味スタジアムよりもアツい盛り上がりを見せている場所がモスクワ中心部にある。

非公式のファンゾーンで何が行われているのか?

 ニコリスカヤ通りは、赤の広場からFSB(旧KGB)本部のあるルビャンカ広場まで伸びる長さ700メートルほどの華やかな目抜き通りである。

 それまではごく普通の観光客が行き来する落ち着いた通りだったのが、ワールドカップが開幕すると各国のサッカーファンがこぞって集うようになり、自然発生的に非公式のファンゾーンと化した。今やモスクワ大学に設けられたFIFA公式のそれをも凌ぐ人気スポットになっている。

ADVERTISEMENT

イルミネーションに彩られた通りでは多種多様な言語が飛び交う。まさに人種の坩堝

 ロシア政府の発表によると、大会中にサッカー観戦で訪れる外国人観光客の数はおよそ100万人だという。ここまで大勢の外国人が一時にロシアを訪れるのは歴史的に見ても初めてのことだ。外国人とのふれあいを求めてロシア人もまた大勢つめかけていて、お互い片言の英語で、ときにスマホの翻訳機能を使いながら、おしゃべりや記念撮影を楽しんでいる様子は微笑ましくもある。

 日没後ともなると仕事帰りのロシア人も加わって混雑度合いはさらに増し、歩くのすら困難になる。国旗をたなびかせて練り歩く者あり、ビール片手に話し込む者あり、各国の民族ダンスを披露する者あり、あちらこちらで自国のチャントが沸き起こる。