動物園の人気者といえば、四六時中のんびりと笹を食べる愛くるしいジャイアントパンダだ。しかし、彼らが「クマ科(食肉目)」に分類される猛獣であることを忘れてはならない。
ここでは、『超危険! 最恐クマのすべて』(宝島社)の一部を抜粋し、可愛い顔の裏に隠された、肉食動物としての本能と狂暴性に迫る。
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可愛い顔とは裏腹に攻撃的になることも
子どもから大人まで、動物園の人気者といえば、ジャイアントパンダだ。近年、日本でも上野動物園で待望の子パンダとして誕生したシャンシャンは、一世を風靡し、人気者となった。その愛らしい姿を目に焼き付けようと、連日、多くの人が長蛇の列を作った。その後に生まれたシャオシャオとレイレイのきょうだいパンダとともに、日本に明るい話題を振り撒いたことは記憶に新しい。
中国語では「大熊猫」と書くが、実はジャイアントパンダは食肉目クマ科に分類される、れっきとしたクマなのである。
動物園で見るジャイアントパンダは、四六時中、笹を食べては寝る、ほのぼのとした姿を見せてくれ、およそ本書で紹介してきた凶暴なクマの姿とは似ても似つかない。しかし、ジャイアントパンダの腸は体長の約4倍と短く、肉食動物の特徴を持つ(牛や羊などの草食動物の腸は、体長の20~25倍にもなる)。
本来、肉食のジャイアントパンダが竹や笹を食べるようになったのも、過酷な生存競争の中で、環境に適応してきた結果である。ただ、身体的にはその進化のスピードが追いつかず、効率よく竹や笹を消化しエネルギーにすることができないので、起きている間は頻繁に食事をし、体力を温存するためにあまり動かないだけなのだ。
そんなジャイアントパンダも、時にクマ科としての片鱗を見せることがある。
ジャイアントパンダの生息地として知られる中国でも、日本同様、動物園の人気者として親しまれてきた。特に北京動物園で飼育された「グーグー」のあまりの人気に、たびたび観客が囲いに侵入し、パンダに襲われる事故が起きている。突然の侵入者に、グーグーは驚き、人間を攻撃したのである。最初の事件は、2006年9月、酔っ払いの男性が誤ってパンダの囲いに入ったことがきっかけだった。男性は、グーグーに抱きつこうと近づいていった。急な人間の振る舞いに驚いたグーグーは、男性の足に思いっきり咬みついた。酔っ払った男性も負けじと、グーグーに咬みつき返そうとし、両者はしばらく取っ組み合いになった。グーグーにはケガはなかったが、男性は足を食いちぎられ重傷を負っている。
翌年の2007年10月には、今度は15歳の少年が囲いに侵入し、グーグーに足を食いちぎられる事件が起きた。食事中だったグーグーは、大事な餌をとられると思ったのか、侵入してきた少年の脚に咬みついたのである。その傷は骨にまで至り、食いちぎられた肉片が少年のかたわらに落ちていたという。
そのさらに翌々年の2009年1月、三度目の悲劇が起きた。囲いに入ってしまった子どもの玩具を取ろうとした男性が、グーグーに襲われている。両足に咬みつかれ重傷を負った。
