もう一人のスター、ポドルスキとの関係は?
もうひとつ気になったのは、ルーカス・ポドルスキのポジションです。
ポドルスキは、ケルンやアーセナルでプレーし、ドイツ代表として活躍した攻撃的な選手。昨年度、Jリーグに移籍してきた外国人選手の中では注目度ナンバー1でした。イニエスタが来る前はトップ下やFWなどでプレーし、日本人選手たちは攻撃面で彼に依存していたので、両雄が並び立つのか心配していました。
「ルーカスとイニエスタをどう共存させるかは、最初いろいろ考えました。ルーカスをどこに置くか、何パターンか頭の中にあるけど、チームとして一番機能するのが右サイドハーフ。二人は離れていても、先日の磐田戦でイニエスタのゴールをアシストしたパスのようにいい感じで連係できている。このシステムと周囲の選手に慣れていけば、もっとお互いの良さが出てくると思う」
トップレベルの選手は時間をかけずとも共鳴していいプレーを見せるといいます。磐田戦でポドルスキからイニエスタとつながったラストパスは本当に美しく、これぞ「世界」というプレーを見せてくれました。その後の試合を観ていてもイニエスタの左インサイドハーフ、ポドルスキの右のサイドハーフは、まさにべスポジです。
チームの状態は「70%」まできた
今のところイニエスタ効果はあらゆる面でプラスになっています。
しかし、イニエスタの全国ツアーが終われば熱は冷め、いずれその存在は日常になるでしょう。契約は3年間ですが、いつ気が変わって他国に行くとも限りません。
神戸が今すべきことは、彼がいる間にその力をどうベース作りに繋げていくか、でしょう。ベースがしっかり築けていないといくらいい選手、チームスタイルに合う選手を取っても、その力を100%発揮させることはできません。今の好景気に踊らされることなく、クラブのヴィジョンと強化を一致させてベースを作り、魅力的で世界的価値のあるクラブにしていくことが求められます。それが三木谷氏の狙いであると思われます。
「70%ぐらいは来ていると思います」
シーズン前、バルサ化に慎重だった吉田監督は今の状態をそう言います。
「イニエスタというバルサの中心選手が来てくれたので思い描いていた以上にバルサ化へのベースが出来てきている。ただ、ここから残りの30%が非常に難しい。これからどう上げていくのか。それがうちの大きな課題ですね」
世界的レジェンドを獲得したチームは、世界からも注目されています。
熱病のような狂騒の後、神戸がどう変わるのでしょうか。
本当のイニエスタ効果は、そこで見えてきそうです。