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33歳女性が悟った「別れるのが苦手な人は、既婚者との恋愛をしちゃだめな人種」

Rule3 風と共に去るしかない 「愛人の品格」――#4

2019/02/26
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死ぬ前に一目会いたい、と思っても叶わない関係

 自分から別れ話を切り出せるような人であっても、既婚の彼との別れを決意することは容易ではないのだと思う。アパレル関係の会社に勤める知人で、仕事や飲み会で一緒になる男性をすぐに虜にしてしまうほど綺麗な人がいて、それでも自分の損得を恋愛で打算するようなこととは無縁で、つい最近まで、同じ業界で働く既婚でかなり年上の男性と5年以上一筋に付き合っていた、というのは何となくの噂で知っていた。5年以上も、尊敬できる男と真面目に付き合っていて、突然別れたというのはどういう経緯なのか気になって、一度だけ、彼との付き合いについて聞いてみたことがある。

 長い間、他の男性の誘いに乗ることもなく、彼との時間を大切にしてきた。それでも、彼が自分との将来を考える可能性があるのか、そもそもどれくらい真剣な付き合いだと思っているのか、このままあまり誰にも話せないような恋愛を続けていいのか、測りかねていることに疲れを感じてきた頃、ちょっとした体調不良と持病の悪化で彼女は2週間以上入院することになったという。

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 当初、熱があって自分で携帯を思うようにいじることができず、かと言って家族は彼との関係を知らない。そもそも彼との付き合いを知っている人は本当にごく一部で、自分から連絡をしない限り、彼に自分の状況が伝わることはないと思った。携帯をいじれたところで、いつ家族が訪れてもおかしくない病室に、彼を呼ぶことは現実的ではなかった。この先、もっと深刻な病状で、死ぬ前に一目会いたい、と思っても叶わず、その願いを伝えてもらうことすらできない関係はあまりに残酷、病院のベッドでそう思ったことが固く別れを決意するきっかけとなる。もちろん美しく聡明な恋人を失いたくない彼の方は、それほど急いで答えを出す必要はないのでは、と食い下がったらしいが、彼女の意思は固く、彼も最終的には受け入れざるを得なかった。

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いつかは自分から、彼の元を去らなければならない

 すでに家族を作っている既婚男性は、余暇のプラスアルファとしての不毛な関係を不毛とは思わず、彼の持っているものをまだ持っていない自分の寂しさを共有してはくれない。当然、彼の方に別れる理由は特にない。独身女性との豊かな恋愛は、自分の生活に潤いを与えてくれることこそあれ、自分の生活を停滞させることはないのだから。一生、既婚男性の愛人としてある程度の生活保障を約束されることが、自分の人生で達成できる最高の高みであるような女ならばそれでもいいのかもしれないが、少なくとも自分の足でよりよい未来を切り開けるような働く女は、いつかは自分から、彼の元を去らなければならない。

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 耐えられないほどの不満がない状況で、別れれば寂しいのが明らかであっても、意志によって自分から別れることができない女は、不倫には向かない。向かないというより、既婚男性を愛する資格はないのかもしれない。

33歳女性が悟った「別れるのが苦手な人は、既婚者との恋愛をしちゃだめな人種」

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