「イニングまたぎは『ない』とは言い切れない」
リリーフは極限の緊張状態で絶体絶命の場面に登板することも少なくない。1つのアウトを奪っただけで疲労困憊。ピンチをしのぎ、ベンチで開放感に浸る。しかし、それでも新しいイニングを任されることがある。この過酷な「イニングまたぎ」について尋ねた。
「試合は生き物ですから、『ない』とも言い切れません。これは慣れの問題が大きい。タフなリリーフを作りたいです」
その言葉通り、韓国チームとの練習試合ではリリーフ要員の祖父江、佐藤、岡田、福などに2イニングを任せた。
試合終盤には相手打者の左右によって小刻みに継投する場面がある。
「単純に左対左、右対右で行くとは限りません。1つ意識するとしたら、左打者への被打率。左に弱い左もいるし、左に強い右もいます」
去年、左腕の大野雄と笠原は左打者を苦手とし、右腕の祖父江、鈴木博、松坂は左打者を抑えた。
「去年の数字もですが、ある程度、キャンプやオープン戦で傾向が出ます。それらを参考にしたい」
先発についても方針があった。
「基本は6人のローテーション。まず、勝敗を預ける軸を3人。彼らには長いイニングを投げてもらいたい。リードされていても、打席に立たせる可能性があります」
先発の頑張りはリリーフの負担軽減につながる。さらに続けた。
「他の3人は同じ力量の投手を2軍に2人配置し、入れ替えて行きます。合計8人体制。プロ野球の歴史で2ヶ月連続月間MVPを獲得した投手はほとんどいません。どれだけ良くても、1ヶ月を目処に状態を見極める必要があります。2軍は雨で試合が流れるため、いくら曜日を合わせても、1人だけでは間隔がずれるので、2人は必要になるわけです。怪我もありますから、終わってみれば、8人以上になるでしょうし、開幕直後は5試合の週が多いので、少ないかもしれません」
阿波野コーチは全ての質問に答えた。近鉄、巨人、横浜と3球団を渡り歩き、指導経験も豊富な54歳。今年は彼が投手陣を束ねる。チームは浮上するのか。開幕は1ヵ月後に迫っている。
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