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中日・阿波野コーチを直撃 最大の課題「リリーフ立て直し」を聞いてみた

文春野球コラム オープン戦2019

2019/02/25

 間もなくキャンプが終わる。果たして、中日ドラゴンズの弱点は強化できたのだろうか。

 6年連続Bクラスに沈む集団に弱点は多々ある。しかし、去年の戦い方を振り返れば、最大の課題は投手陣の整備だ。

 チーム防御率4.36、与四球(故意四球を除く)520、奪三振941はいずれもリーグワースト。制球が悪く、決め球もなく、勝負弱い。それが去年の投手陣だった。

 ただし、先発は健闘した。防御率4.08、完投数9、平均投球回5.96はいずれも2位。オネルキ・ガルシアは13勝を挙げ、松坂大輔と笠原祥太郎は6勝をマーク。吉見一起は何度も試合を作った。

 目を覆うのはリリーフだ。防御率4.93は6位。平均投球回3.06は最短。これはたいしてイニングを投げていないのに炎上した証拠。逆転負け38回、8回と9回の合計失点132はともに最多。いくら打線が奮起し、先発が我慢しても、リリーフが一瞬にして試合を壊した。

 心機一転。2019年が始まった。しかし、リリーフの顔ぶれは去年とほとんど変わっていない。新外国人エンニー・ロメロは先発要員。ドラフト3位ルーキーの勝野昌慶も「先発で勝負したい」と意気込む。むしろ、岩瀬仁紀と浅尾拓也が引退し、ブルペン全体の「実績と経験」は低下した。変わったのは首脳陣だけだ。

 阿波野秀幸1軍投手コーチ。リリーフの立て直しは彼の手綱捌きに懸かっている。青空が広がる北谷球場で新コーチの考えを聞いた。

阿波野コーチ(右)と松坂大輔

「3連投はさせたくありません」

 まず、試合中の準備ついて。中日はブルペンでの投球練習を2回行ってマウンドに向かうのが通例だ。一方、他球団の多くは1回。その分、球数は抑えられる。ある球団は3回準備すると、それ以上は肩を消耗するため、登板を回避するルールがあると聞く。また、巨人の田原誠次は去年の契約更改交渉後の会見でブルペンの環境改善を訴えた。どのチームも準備の仕方は極めて重要なのだ。

「回数は決めません。ベストは人によって違うもの。フィットする形を一緒に模索したいと思います。とにかく良い状態でマウンドに送り出すことが我々の役目」

 連投についてはどうか。

「シーズン終盤で優勝争いをしていたら別ですが、原則3連投はさせたくありません。疲労の蓄積はパフォーマンスを下げる要因の1つ。私は横浜でリリーフ経験がありますが、当時の権藤(博)監督がかなり配慮していました。ただ、事前に『今日は絶対ない』と告げられていたわけではなく、30歳前後の私たちがゲームの流れを読んで、気持ちと体の持って行き方を後輩たちに伝えていました」

 去年、中日救援陣で3連投したのは鈴木博志(4回)、ジョエリー・ロドリゲス(2回)、佐藤優(2回)、田島慎二(2回)、祖父江大輔(4連投1回)、福谷浩司(1回)、又吉克樹(1回)、木下雄介(1回)の8人で14回。そのうち8回がシーズン前半。鈴木博の3連投4回も祖父江の4連投も6月までの出来事だった。

 1998年、優勝した横浜救援陣はどうか。佐々木主浩(2回)、阿波野秀幸(1回)、五十嵐英樹(1回)、島田直也(1回)、関口伊織(1回)、河原隆一(1回)、西清孝(1回)の7人で8回。意外にも大魔神の3連投は2回だけ。53試合に登板した横山道哉はゼロ。阿波野、五十嵐、島田の3連投は全てオールスター明けだった。佐々木と島田がともに3連投したのは9月4日からのナゴヤドーム中日3連戦。横浜はこの天王山に3連勝し、一気に優勝へ突き進んだ。禁断の手を使うのは第4コーナーを回ってからが得策のようだ。

「あの佐々木でも3連投目はきつそうでした。だから、ダブルストッパーも考えています。ただ、その場合は必ず試合前に『今日の9回は○○』と本人にも周りにも伝えます」

 クローザーの条件は何か。

「攻める姿勢です。それが体の中から滲み出てくる投手。9回を投げる者の背中は周りへの影響があります」