Fの文字さえ入れておけばという道内メディア界
「FORTE」のサイズはA5判。「ファイターズマガジン」は、A4判よりちょっとだけ背の低いサイズでした。つまり、以前のほとんど半分です。
いや小さいといったって、たとえば「PHP」ほどではないですし、「文藝春秋」も「本の雑誌」も「ミステリーズ!」もこの判型。雑誌としては至極普通です。サイズが小さくなった分、ページ数は増えてもいます。薄くて何となく雑誌というよりは冊子っぽかった「ファイターズマガジン」ですが、「FORTE」はしっかりと背表紙のある厚さ。内容量は明らかに前より多いです。
ただ何となく大きさは変わらないものと思い込んでいたのですね。というのも「月刊ホークス」や「月刊ジャイアンツ」もおんなじようなサイズでしたから。プロ野球のオフィシャルマガジンは皆大体このくらいだと、固定観念が出来上がってしまっていたのでした。
その先入観をぶち壊すA5判。しかも誌名の「FORTE」には球団名が含まれていません。平積みの場所こそスポーツ雑誌売場ですが、何の本なのかぱっと見わかりにくくないでしょうかこれは。大体テレビ番組「FFFFF(エフファイブ)」といい、ファイターズとはっきり謳わなくてもFの文字さえ入れておけばという感じはありませんか道内メディア界。いやそれは確かによく見ると「HOKKAIDO NIPPON-HAM FIGHTERS OFFICIAL MAGAZINE」という文字はある。でもとっても小さいです。そして表紙にどどーんと西川遥輝の写真が載ってもいる。しかしここは北海道。「Hot Pepper」の表紙が西川遥輝だったこともあるのです。「財界さっぽろ」などスポーツ誌ではない雑誌にファイターズが載るのは珍しくありません。そんな風に見えちゃわないかなあ、これ。
とか何とかぶつくさ言いつつ1冊買って、読み始めたら、ああそうかと思いました。
サイズの大きい「月刊ホークス」や「月刊ジャイアンツ」は、同じような大型の別のスポーツ雑誌の雰囲気と似ています。たとえばリニューアル前の「プロ野球ai」のような。1冊丸ごとホークスだけ、ジャイアンツだけが載っている「プロ野球ai」、そんな手触りなのですね。
一方、コンパクトサイズの「FORTE」。西川遥輝ロングインタビュー、私服でベッドに頬杖ついてカメラ目線なんていう写真があっても、「プロ野球ai」っぽさとはちょっと違います。同じサイズの「屋上野球」の静かな落ち着きとどこか似通った雰囲気を感じました。内容は全然違うのに。
「屋上野球」、「野球太郎」、「ベースボールサミット」、「読む野球」。思えばこのサイズの野球雑誌はいくつもありました。派手さや華やかさはそれほどでなくとも、じっくり読みふけることのできる雑誌を、「FORTE」も作ろうとしている気がしたのです。
何はともあれ百聞は一見に如かず。これをお読みの北海道在住の方で、まだ「FORTE」を手に取っていないという方がいらしたら、取り敢えず本屋さんに行ってみて下さい。西川遥輝の静かな横顔が目印です。
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