本屋大賞3位の『ピエタ』、直木賞候補となった『あなたの本当の人生は』ほか、映像化された作品も多い、実力派の大島真寿美さん。3月上旬に刊行される待望の新刊『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』は、江戸時代の浄瑠璃作者・近松半二が主人公である。
「歌舞伎は好きで昔からよく観ていたけれど、浄瑠璃=文楽は……」という大島さんが、作品執筆中に出逢ったのが六代豊竹呂太夫さん。人間国宝の祖父を持ち、自らも格式ある名跡を2017年に継いだ重鎮だが、その人柄はきわめて魅力的で温かい。義太夫の稽古体験がきっかけで、ついに大島さんは、師匠へ弟子入りまで決意した。呂太夫さん曰く「声も出るようになってきて、なかなかよう頑張ってますね」。
半二が導いたかのように、小説の核となる狂言『妹背山婦女庭訓』の通し上演も、5月に東京国立劇場で決定。98年ぶりにかかる大序の「大内の段」にはじまり、物語の最後を飾る「金殿の段」は、呂太夫師匠が太夫を勤める。政治闘争あり、忠義あり、悲恋ありと、スペクタクルな舞台を体験できる、貴重な機会チャンスをぜひ見逃しなく!
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