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「ママっぽくないママ=かっこいい」という価値観が生み出す優越感、階層が上がれば上がるほど、この優越感は強いアイデンティティとなるのでしょう。なんて恐ろしい、この女性誌アムウェイシステム。これからの社会で本当に怖いのは、わかりやすく暴力的な「悪」よりも、気づかないうちに自意識をくすぐり、そして操ろうとする「催眠」なのかもしれないです。

髪バサバサやりながら「女ってめんど~~」

 しかし、これが「広告」として成功だったのかと言われると、そこには大きな疑問が残ります。騙されたと思って試していただきたいんですけど、若干鼻を詰まらせ、かつだるそうにしながら「不良なママでごっめ~ん」って言ってみてください。いいですね。では次に「今さらモテてもね~迷惑なだけ」。そう、察しのいい読者の方ならもうお分かりでしょう。これね、YOUなんですよ。YOU。90年代が生んだサバサバマシーン。YOUが言いそうなことあるあるなんです。たとえ女性をうまいこと分断して批判を逃れたとしても、待ってるのがYOU。2019年にセルフカットの髪バサバサやりながら「女ってめんど~~」とか言うやつです。ブラザーKORNがクラブカルチャー語っちゃうのと同じ効果効能。みんな逃げ出すやつです。悲しいくらいのズレがそこにある。そしてズレてるというのは、女性誌にとって、性差別的と批判されるより、罪深いことと言えるでしょう。アーメン。

 ここまで言っといてなんなんですけど、私Domani、買いましたよ。ええ買いましたとも。だってかっこいいワーママ、なれるもんならなりたいですもん。雑誌最高世代なので「このブレスレット買ったら札束のバスタブでウェーイ出来る」って言われたら信じちゃうんです。しょうがないんです。しかし、そんな不埒な希望を胸にページを開いた私を待っていたのは「かっこいいママは白シャツ!」「そして白デニム!」「全身白コーデ!」という、まさかのノンスタイル石田化企画でした……。「かっこいいママ=ノンスタ石田」これだけを胸に刻み、余生を過ごそうと思います。