外国人に高値で売りつける作戦
おそらく、購入当初より30年以上がたち、すでに厄介者となっているリゾートマンションに困惑する(おそらく)高齢者と思われる所有者の弱みにつけこんで、カネを払わせて物件を取得する。そしてこれをリフォームして、スキーに興味を持ち始めた外国人にでも高値で売りつける作戦だと思われる。オーストラリアや欧米からニセコや白馬にやってくる外国人富裕層のスキーヤーは越後湯沢には興味を示さない。越後湯沢は雪質が重く、彼らの「いいね」は得られないからだ。いっぽう最近スキーを始めた中国や香港のスキーヤーは東京から新幹線でアクセスできる越後湯沢なら便利だし、スキーを楽しめれば十分だから買ってしまう。平成バブル時の日本人と同じ思考回路だ。ここにつけこもうというわけだ。
実際に最近では、越後湯沢のマンションを買いたいという中国などのアジア人が出始めているという噂も聞こえ始めた。また一部悪徳業者の中には、
ついに不動産の「腐動産」化が始まった
さて、実はこの話にはオチがある。業者が一生懸命送り付けてくるダイレクトメールは、ターゲットとするリゾートマンションの登記簿謄本を閲覧して、所有者として登記されている人宛に送られてきていると思われる。
ところが最近では所有者の一部に相続が発生している。30年も前のバブル時代に買った中高年の所有者の中にはすでに亡くなっている人も多いのだ。相続人は親が残したこんな出血続きのマンションなんて相続したくない。それでも相続は避けられない。結果どうするか。登記をせずに放置しているのだ。相続登記をしなければ、相続したことを表明していないことになるので雲隠れできる。最近は多くの「負動産」が相続登記をされずに、「所有者不明」に陥っている。マンションの場合は管理組合に相続をした旨の連絡もしないので管理費や修繕積立金が未納になっても管理組合は請求先がわからずに困惑しているのが実態だ。だからせっかくのダイレクトメールも現在の相続人の手元には届いていないケースが多い。
買手側も「半分騙し」だが、売手側も「半分隠蔽」の構図にあるのがこの話の裏側なのだ。ついに始まった不動産の「腐動産」化。そこで登場するのが腐動産を喰いつくした挙句に、何も知らない新たな客に高値で売りつけるバクテリアたちだ。その先買った人がどうなろうと知ったことではない。不動産屋の中にはそんなとんでもない輩が潜んでいるのだ。