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ライオンズ・秋山翔吾が語った、ホークスのビッグマウス・上林誠知のこと

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/03/29

 2018年パ・リーグ王者の西武は、今季開幕戦で敵地・福岡に乗り込む。昨季のCSで屈した相手を皮切りにグローリーをつかみにいくのは、ストーリーとして最高の序章になるかもしれない。

 3月23日のオープン戦後、メットライフドームの駐車場で秋山翔吾にそう振ると、ある意味、彼らしい答えが返ってきた。

「きついなと思いますよ。一番、どのビジターよりも勝率悪いのがわかっているし。12タコもあり得るでしょ?」

 さすがミスター・マイナス思考。宿敵ソフトバンクとの開幕3連戦で12打数無安打に抑え込まれることまで想定している。

 この日のDeNA戦では4打数無安打に終わった。オープン戦全体を見れば12球団6位の打率.314を残したが、それより4タコに終わった悔しさで頭の中は占められていたのかもしれない。

 ユニフォームからジャージに着替えた秋山は愛車に積まれたスニーカーに履き替えながら、室内練習場に向かう準備をしていた。

「開幕でやる前から『3つ負けなきゃいい』とか言いたくないですけど、感覚的にはそういう感じです。『絶対勝ちたいです』とか言いたいですよね。ただ、うちがホークスに3連勝する予想をする人はいないと思うし。でも、3連敗の予想はすると思うんですよ。それが、はたから見たら実力差だし。うーん。どういう声をかけられるかじゃないですか、僕が。勝とうが、負けようが、この3試合で終わるわけじゃないですから」

 秋山も認めるように、開幕を前に西武には大きな不安がある。ベテランの内海哲也、榎田大樹が開幕ローテーションに間に合わず、ドラフト1位投手の松本航は肺炎で離脱し5月に復帰する見込みだ。開幕翌週は6連戦が組まれる中、先発陣が5枚しかそろっていないのは何とも心もとない。

ミスター・マイナス思考の秋山翔吾 ©文藝春秋

「柳田さん、秋山さんの時代を終わらせる」と語った男

 私事を言えば、文春野球デビュー戦から西武と同じように「寝耳に水」の事態に見舞われた。初めての“開幕投手”だからと力を入れていたネタが、時事的によろしくない展開になった。

 宮崎の居酒屋で相手先発の田尻(耕太郎)くんと何度も飲み交わした木挽ブルーで気分よくなっていた3月24日夜、ツイッターを見ると「ソフトバンク上林背中の張りで交代、開幕へ黄信号」(日刊スポーツ)のニュースが流れてきた。え? 開幕がソフトバンク戦ということで、上林絡みのネタを仕込んでいたんだけど……。

 個人的に上林誠知は好きな選手だ。プレースタイルはもちろん、ぶら下がり取材で直撃すると、いつも丁寧に答えてくれる。出身校の仙台育英の須江航監督によると、高校時代から「人間の資質が良かった」らしい。

 上林と言えば、自主トレ中のビッグマウスが話題を呼んだ。「柳田さん、秋山さんの時代を終わらせる」という発言だ。直後、ちょうど秋山とその話になり、いつか書きたいと暖めてきた。それがまさか開幕直前に黄信号が灯るとは……。

 ジャーナリストとして言えば、上林には無理に開幕に合わせるよりシーズン全体を考えてほしい。しかし文春野球でコラムニスト的な挑戦をしたい立場からすると、何としても開幕戦に出てほしい。

 酔った頭でそんなことを考えながら、一晩明けると秋山の言葉が思い出された。「勝とうが、負けようが、この3試合で終わるわけじゃないですから」。さすが秋山キャプテン。上林が開幕戦に出られるかはスタメン発表までわからないが、シーズンの戦いは長い。先を見据え、文春野球の開幕戦では上林発言に対する秋山のアンサーを予定通りに記したい。