ヤクルトデビュー戦で、早くも漂い始めた「生え抜き感」
2年前のキャンプ中に行ったインタビューを、改めて思い出す。当時の取材メモには、「ストレートに対するこだわり」がいくつも記されていた。「ファンに対して、どんなところを見てほしいか?」という質問に対しても、その言葉は力強い。
「やっぱり、強気なピッチングスタイルです。真っ直ぐでどんどん攻めていくピッチングをファンの方には見てほしいですね」
つい、「先ほどから、真っ直ぐに対するこだわりがかなり強いですね」と僕は口にする。高梨の言葉はなおも力強かった。
「今はまだ、変化球を練習するつもりはないです。自分では、まだまだストレートが伸びていくと思っているので、自分への期待を込めて、もっともっと真っ直ぐを磨いていくつもりです。去年もこのスタイルでやってきたので、今はこのままやっていきます。いつか変化球が必要になってくるときもあるかもしれないけど、それまでは真っ直ぐをどんどん磨いていって、強気のピッチングを続けていくつもりです。自分で自分の限界を作りたくないし、もっともっといい真っ直ぐが投げられると信じているので期待してください!」
自分で自分の限界は作らない――。名フレーズではないか! 新人王獲得後、高梨に何が起こり、どのような経緯でトレードとなったのか、詳しいことを僕は知らない。けれども、トレード相手となった秋吉亮が背負っていた背番号《14》を、そのまま引き継いだ高梨には、すでに「生え抜き感」が漂い始めている。手薄な先発ローテーションの一角を守り抜いて、ぜひ新元号である「令和元年優勝」の立役者となってほしいものである。高梨の投じる自慢のストレートに、今季はぜひ注目したい。次の先発は本拠地・神宮球場となりそうだ。ぜひ、この目で自慢のストレートを確認したい。頼むぞ、高梨!
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