夢か幻か。千葉ロッテマリーンズが生まれ変わっている。なにがか? 打線である。4月4日には早くもチーム本塁打が二桁に到達。なんとこの6試合目での到達は2019年で12球団最速というから、ぶったまげて腰が抜ける。過去にそんな記憶などまったくない。昨年は二桁本塁打を放つまで17試合、一昨年は29試合かかっている。2011年は二桁本塁打打者ゼロだった球団がまさかの生まれ変わりなのだ。このキャラ急変ぶりには他球団は唖然呆然だ。
ホームラン王が最後に出たのは昭和61年
これで長打に泣かされ続けた暗黒の歴史ともおさばらなのである。昨年のチーム本塁打は78本で日本一になったソフトバンクとは半分以下(ソフトバンクは202本塁打)。16年が80本、17年が95本で3年連続12球団最少の不名誉なタイトルホルダー。マリーンズファンにとってはもはやなんとか打線が繋いでリードをして(基本的には犠飛か内野ゴロの間の1点などが多い)、投手陣でしのいで勝利するというのが基本勝利パターンだった。それが今年は最低でも二桁本塁打を打つ選手が5人は出る(レアード、バルガス、井上、中村、角中。これに加藤あたりも可能性大)。
ホームラン王が最後に出たのは平成の時代をひょいと牛若丸のごとく軽く飛び越えて昭和61年(1986年)の落合博満氏だ。それが今年は新加入したブランドン・レアード内野手とケニス・バルガス選手がホームラン王争いの有力候補に名前が挙がっている。そのレアードに至っては開幕から4試合連続本塁打の荒業をやってのける絶対的信頼感。バルガスの方も開幕前日にカメラの前で、なぜか梶原紀章広報の髪を陽気に歌いながらバリカンで刈って、最後は「明日からガンバルガス!」の頼もしき決め台詞。YouTubeでの動画再生回数は4月5日には20万回を超えるというから、もはやなんなのか分からない。少なくても期待の新助っ人が開幕前日にバリカンを流ちょうに操っている動画をアップするプロ野球チームなど存在しない! その余裕の挙句に本塁打の雨、嵐のような祭り騒ぎだから、凄いのだ。
ここで気になるのは打線とは対照的に少し元気のない先発投手陣だが、そこはノープロブレム。一切、問題ナシだ。打線が昨年までと違うと分かった事が最大の収穫。多少、打たれても援護してくれると思うだけで気持ち的に変化が起こる。なによりも今年のロッテ投手陣は開幕シーズンに照準を絞っていない感じがプンプンプン、蜂が飛ぶのごとく漂う。それは昨年、8月、9月に大失速した反省なのだろう。明らかにギアを入れていない。照準はあくまで勝負の夏場。それまでは打線に頑張ってもらい、しっかりと勝ちを拾っていく作戦の予感がする。現に吉井理人投手コーチも冷静に「4月はこんなもんです」とケロリ軍曹並みに冷静に言ってのけてくれるから、頼もしいのだ。