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チームに向けての強い意思表示なのだ

 ああ、思えば平成に代わる新元号が「令和」と発表となった際に千葉ロッテマリーンズの本拠地ZOZOマリンスタジアムの大型ビジョンには月曜日で試合もなく、当然、グラウンドには人がいないにも関わらず「令和元年、優勝するのは千葉ロッテマリーンズ」のメッセージが誇らしげに表示された。これにはマスコミは「人が誰もいないのに誰に向けたメッセージだ! カラスか!」、「やってくると思った。マリーンズ名物の便乗商法」と突っ込みが入り、ファンからは「エイプリルフールのネタだろ!」、「せめて令和の時代の間に優勝しますぐらい謙虚にしとけ!」と1億総突っ込み状態。

大型ビジョンに映し出された「令和元年、優勝するのは千葉ロッテマリーンズ」のメッセージ ©堀慶介

 そんな中、私は思った。ああ、なるほど。千葉ロッテマリーンズは本気で優勝をするつもりでいる。自信と確信に満ちている。あれは世間でもマスコミでもファンに向けたメッセージでもない。チームに向けて「分かっているな。今年は優勝できるぞ! 優勝しないといけないんだぞ」というフロントの強い意思表示であり、時間が経って、「ホラ、言った通りでしょ」と言ってのけるために撒いた種なのだ。

 言魂という言葉がある。言葉が持つ不思議な力。言葉として世に発せられたものに力が宿り、現実に起きることだ。そう、まさに「令和元年、優勝するのは千葉ロッテマリーンズだ!」には企画した球団職員の強い言霊を感じる。よくぞ、この炎上を怖がる傾向にある現代社会で、言ってのけたものだ、千葉ロッテマリーンズ!(普通の球団ならリスク回避するが、この開幕前日に助っ人がバリカン片手に歌を歌いながら髪を切り出す動画をYouTubeにアップする球団は一味も二味も違うのは冒頭でも伝えた通り)。10月にもう一度、ビジョンに誇らしく掲げて見せてくれ。「令和元年、優勝したのは千葉ロッテマリーンズだ!」と。この12球団最強打線と12球団でもっとも層の厚い投手陣があれば、それは現実となるだろう。さあ、伝説のシーズンが高らかに幕を開けた。凄い一年となりそうな予感が漂う。目を離さず、一緒に歌い、踊り、応援しよう。

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堀慶介(スポーツライター)

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