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「阪神、優勝おめでとう!」とあらかじめ祝う……矢野監督が教えてくれた“予祝”のすすめ

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/04/18

「阪神タイガース優勝おめでとうございます!!!」

 これ、本気で言っています。

 まだシーズンも始まったばかり、ましてやタイガースは負け越しているという状況なのに「何をアホなこと言ってんねん!」と、みなさんは言いたくなると思います。私も正直に言うと、最初はそう思っていました。でもこの言葉、すごい力を発揮するんです。

 そもそも「優勝してほしい!」という願望を文字にしているのではありません。9月にタイガースが優勝して矢野燿大監督が胴上げされている姿を具体的に描きながら、その時に贈る「阪神タイガース優勝おめでとうございます!!!」という言葉をいま、先に言っているのです。これが「予(あらかじ)」め、「祝」う、“予祝(よしゅく)”と呼ばれるものです。

“予祝”は矢野監督に勧めてもらった「予祝のススメ 前祝いの法則(ひすいこたろう・大嶋啓介著)」を読んで知りました。今年は春先の気温が低かったことで、お花見を楽しめた方も多いのではないでしょうか。まさにこのお花見こそが“予祝”だとこの本では紹介されています。〈古代日本人の願いは秋に稲がたわわに実り、お米がしっかりとれること。その願いを実現するために春に満開に咲く桜を稲の実りに見立て、仲間とワイワイお酒を飲みながら先に喜び、お祝いしていた。〉(「前祝いの法則」より)ということなのです。先に喜んで祝うだけで、夢や願いがどんどん叶うという実例がたくさん挙げられています。とはいっても、「いやいや、そんなうまくいくはず……ない……やん?」とどこかで思っていました。(矢野さんすみません……笑)

「予祝のススメ 前祝いの法則(ひすいこたろう・大嶋啓介著)」を愛読している矢野燿大監督 ©時事通信社

“予祝”によって優勝を果たしたチーム

 しかし、今月、私はまさに自分のこの目で予祝の成功を見たのです!!!!

 実は、この“予祝”によって我が阪神タイガースより先に見事優勝を果たしたチームがあるんです。平成最後の選抜高校野球大会で優勝した愛知県の東邦高校です。東邦が、というよりもこの大会で投打ともに注目された主将の石川昂弥君が“予祝メッセージ”を受け取っていました。それが、父・尋貴さんから決勝戦の前夜に送られてきたLINEです。

「優勝おめでとう」

 尋貴さん、決勝戦は明日ですよ! と突っ込みたくなりますよね? 「明日頑張れよ!」「優勝しろよ!」ではなく、決勝前日にも関わらず「優勝おめでとう」と誰よりも早く東邦の優勝を祝っていたのです。昂弥君は「必ず優勝します」と返したそう。尋貴さんは「ああいうメッセージを送れば決勝の前にイメージトレーニングができると思いました。息子は頭の中で1試合分イメージして試合に臨んだはずです。」とメッセージの意図について語っています。これって完璧な予祝ですよね?