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文春野球コラム

1996年、神戸生まれ イチローに憧れたドラ1ルーキー・辰己涼介の可能性

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/04/19
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「これってオモロい方がいいんですか?」

 数々の選手に好きなおにぎりの具を聞いてきた中で、こう返された選手は初めてだった。それは今から約5か月前の11月22日、仙台市内のホテルで行われた「新入団選手発表会見」の本番前。Rakuten.FMとエフエム仙台との相互放送でオンエアするためのインタビューをした時の話である。

大学外野手No.1と称されてプロ入団した辰己涼介選手 ©RakutenEagles

ルーキーらしからぬ肝の大きさと現場対応能力

 話を聞かせてもらった相手は、4球団が競合する中、立命館大学からドラフト1位で楽天イーグルスに入団した辰己涼介選手。「尊敬する人」や「ルーキーイヤーの抱負」などについて話してくれた後に、「好きなおにぎりの具」と、ラジオ用の初リクエスト曲まで丁寧に応えてくれた。

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 入団会見前の控室は緊張感がグングン高まる中、「好きなおにぎりの具」について質問する事は若干ためらわれたが、おにぎりおじさんのミッションとして、どうしても聞かねば! というおかしな使命感で辰己選手にいざ踏み込んで聞いてみると……、

「これってオモロい方がいいんですか?」

 ズッコケそうになった(吉本新喜劇バリに)が、初めてインタビューさせてもらう中で、堂々として、はっきりとした口調だった事にもビックリした。しかも関西人魂に火が付いたのか、なんとボケようとしてくれたのだ。

(時間もなかったので)結果的には本当に好きな具を選んでもらったのだが、ちょっとやそっとのことには動じない肝の大きさと、現場対応能力に感服した。

 辰己選手は春季キャンプから1軍メンバー入り、見事開幕1軍入りも果たす。そして開幕カードの3戦目、3月31日にプロ初スタメンでプロ初ヒット、初打点、初盗塁を決めた。その事については「まだまだこれからですが、早めにヒットが出てくれて嬉しかったです!」と話してくれた。まだまだ辰己涼介という男の話が聞きたくなった。

好きなおにぎりの具は「梅」、味噌汁の具は「お麩」の辰己選手 ©河内一朗

河内「外野手は熾烈な争いだと思いますが、ご本人はどう捉えていますか?」

辰己選手「もちろん負ける気はないですけど、やっぱりオコエもいい選手なので2人で盛り上げていけたらなと思っています」

 負けん気の強さの中にも、チームメイトと切磋琢磨しながら、チームを盛り上げていくぞ! という意欲が感じられた。

河内「オレのココに注目して欲しいというところは?」

辰己選手「野球を楽しんでいる姿を見てほしいですね。僕が楽しんでいる姿を見て、(ファンの皆さんに)楽しんでいただきたいです」

 ためらうことなく話す辰己選手はこう続けた。「先日、イチローさんが引退されて、僕は夢を与えてもらったので、僕も人に夢を与えられるように頑張ります」。

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