近年では、胸やお腹に数ヵ所小さな穴だけを開けて行う「胸腔鏡手術」や「腹腔鏡手術」が、食道がんにも適応されるようになりました。しかし、それでも、がんの手術の中ではかなり大きな手術となります。現在では、安全性が高まったとはいえ、それでも肺炎や縫合不全などの合併症リスクがあり、かつては死亡率の高い手術でした。
ですから、ヘビースモーカーで、飲んだら顔が赤くなる人は、とくに食道がんにならないよう心掛けるべきだと思うのです。そのためには、まず「禁煙」です。浜田さんにも長く活躍していただきたいので、番組でお酒を飲み続けるなら、ぜひ禁煙をおすすめします。禁煙すれば、口腔がん、食道がんだけでなく、肺がん、胃がん、膀胱がんなど多くのがんのリスクが減り、脳卒中や心筋梗塞の予防にもなります。
心配な人はリスクを知った上で内視鏡検査を
また、食道がんリスクが高い人や心配な人は、定期的に内視鏡検査を受けるといいかもしれません。内視鏡で胃を見るときに、食道も通過しますので、医師にお願いすれば胃がんと一緒に食道がんのチェックもしてくれるはずです。
ただし、厚生労働省は食道がん検診を推奨はしていません。定期的に食道の内視鏡検査を行って、食道がんの死亡率が下がるエビデンス(科学的根拠)はないからです。内視鏡検査にも非常にまれとはいえ、前処置の薬剤によるアレルギー反応(ショック)や消化管に穴を開けたり出血させたりするリスクなどがあります。お金もかかりますので、こうしたデメリットも考慮したうえで、受けるかどうか判断してください。
いずれにせよ、口腔がんや食道がんは禁煙してお酒を控えれば、リスクを下げられます。がんは、ならないにこしたことはありません。若い人たちの喫煙率が下がっていますので、たばこを吸っていない人はこれからも吸わず、お酒が苦手な人は無理にお酒を飲まないことが大切だと思います。