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「このままじゃ終わる」 プロ4年目で初勝利の西武・本田圭佑はメンタルの問題をどう克服したのか

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/05/03
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“プロ初勝利”が変えたこと

 初勝利に続き、4月24日vs千葉ロッテ戦で2勝目を挙げた。その姿に、ファームでは、コーチ陣が「みんなだって、本田のように一軍で結果が出せるチャンスは十分にある」と選手を集めて話したという。この3年間、本田投手が日々、試合や全体練習後にどれだけ鏡の前で一人黙々と腕を振り続けてきたか。それを間近で見てきたファームの選手たちに、プロで“1勝”を挙げるために何が必要かを結果で示したと言っても過言ではないだろう。

 逆に、自身も改めて気付いたことがあった。「僕のようなファーム育ちの選手が上で結果を残すことで、ファームの選手の刺激にもなると思いますし、活躍すればするほど、『二軍からしっかりと選手が育っている』と、お世話になったファームのスタッフの方々の日頃の努力もきちんと認めてもらえる。だからこそ、そのためにもまた頑張りたいなと思います」。

 もちろん、現状で満足するような選手ではない。「いまは本当に『心・技・体』という言葉を大事にしています。そのどれか1つでも悪くてバランスが整っていないと、自分の実力を発揮することができない。今はいいバランスが保てているので、今度は、さらにその1つ1つのレベルアップだと思う。『体』はスタミナや、もっと長いイニングを投げられるような強い体を作っていかなければいけない。『技』術的には、コントロールや、1つ1つのボールのレベルアップ、球種を増やすなどの工夫もしていかないと。そして『心』は、一番実力発揮につながるところ。毎日の積み重ねでトレーニングしていかないといけないなと思っています」。

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「まだまだです。頑張ります」と言って、話し終わると、またすぐさま自主練習に向かった本田投手の表情は、充実感に満ち満ちていた。

 日頃、選手の取材をさせていただくにあたり、人知れない努力を積み重ね続ける選手を目の当たりにすることも少なくない。昨今、“効率化”がトレンドとされ、どの世界でも量よりも質を重んずる傾向が多い中、「せめてスポーツの世界は、努力したものが報われる世界であってほしい」と密かに思い続けている。その象徴の一人とも言えるのが、本田投手である。最初の悲願「プロ1勝目」を叶え、次なるステップに挑み始めた。「まだ今は言えませんが、これからは、自分でもワクワクするような『こうなりたい』という目標を掲げています。そこへ向けて、1勝1勝を積み重ねていくだけです」。この先も、自分のペースでいい。紆余曲折しながらも、最終的には必ずや目標を達成していると信じている。

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