昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

タイムリーヒットと冷やし中華――石原彪のお母さんと再会した日

文春野球コラム ペナントレース2019

 ゴールデンウィークも終盤の5月5日、僕はオリックスvs楽天が行われるオセアンバファローズスタジアム舞洲に向かっていた。いつものようにJR桜島駅からタクシーに乗るも此花大橋を渡った所で大渋滞。4年前の履正社と大阪桐蔭が初戦で激突したあの夏を思い出させる。しかし今日は高校野球は行われていないはず。

 えっ、確かにファームの楽天を関西でチェックできる機会なんて滅多にない。まさかこれ全部!?

「ゆり園、凄い人ですねー。」

 えっ?

 運転手さん曰く、球場奥にある大阪まいしまシーサイドパークで行われている100万株のネモフィラが連休中お客様から大人気だそうだ。

 野球関係ないんかーい。

 ほどなくして到着。「オリックス勝つといいですね!」。野球話に花を咲かせる事がなかったのは言うまでもない。

球場に聞き覚えのある声が…

 2017年秋だったか、高校野球観戦の帰りに米村理コーチにご挨拶にうかがって以来の球場、あの時は夕方だったのでわからなかったが、この日は雲ひとつない青空がひろがり燦々と照りつける太陽がまるで春のキャンプ地に来ているかのようでテンションも上がる。バックネット裏はファームの試合にもかかわらずプレイボール一時間前にはもう満席状態であった。一番後ろの席のさらに後ろの空間に腰掛け客席を眺める。3塁側には各々推し選手のユニフォームを着た楽天ファン。僕の目の前には石原彪選手のユニをまとった女性が団体でお越しになっていた。楽しい会話が聞こえてくる。

 もしかして……

 その声には聞き覚えがあった。藤田一也選手が毎年京都で自主トレを行うのだが石原選手も毎年参加している。地元が京都という事もあり石原選手のお母さんもいつもお手伝いに来られていて、見学に来た僕にまで「コーヒー入れましょうか?」と気遣ってくれる優しい方なのだ。

「こんにちは、石原さんですか?」

「あら! かみじょうさん。」

 やはりお母さんであった。聞けば地元京都の友達と一緒に応援に来たのだという。

「今日はファーストみたいですわっ」

 普段は捕手だが、ドラフト2位ルーキーの太田光選手やU-23日本代表でも活躍した堀内謙伍選手などファームにも未来の扇の要候補がたくさんいる。この日も先発マスクは堀内選手だった。

「活躍期待しています!」

 そうこうしているうちに試合は始まった。楽天先発は藤平尚真投手、オリックスは松葉貴大投手と、この投げ合いがファームで見る事ができるのか!? と喜んでいたのも束の間、2回、3回に1点ずつ取られ2点のリードを許してしまう。なんとか流れを変えたい楽天は4回から石原選手をキャッチャーにもってきた。もちろん母率いる応援団にもさらに熱が入る。