「#乳がんダイアリー 矢方美紀」ができるまで　取材開始から1年、NHK担当ディレクターが見た“素顔”

「なんと今日ついに抗がん剤治療が終わりました」

◆5月30日
　もう基本、家にいるときはこんな感じで髪の毛が脱毛しちゃったので、帽子をかぶっています。今日は体調が悪い。なので、もう終わります。おやすみなさい。

◆7月8日
　今日から大相撲名古屋場所がはじまりました。あさって3日目、名古屋場所に行けるので、ちょっとわくわくです。生で見れる感動をあさっては味わってきたいと思います。

◆9月26日
　なんと今日ついに抗がん剤治療が終わりました。本当に長かったんですけど、やってみるとあっという間で、少しホッとしています。

　テレビというメディアは、大前提として、番組尺が決められています。30分、1時間など、限られた時間の中におさまるように情報を取捨選択して、番組にしていきます。「#乳がんダイアリー」では、テレビという枠に縛られないコンテンツを目指し、テレビ番組を作ると同時に、自撮り日記をすべて公開しています。現在、約120日の自撮り日記（5月2日現在）を公開中です。　

　テレビのディレクターをしていると“使いたいシーン”だけど、尺におさまらず、編集で落ちてしまうことを何度も経験します。その点、WEBには制限がありません。矢方さんの日々の体の変化や何気ない日常が詳細に記録された自撮り日記のアーカイブは、同じ病気を患う患者さんから「とても役に立つ」「矢方さんの姿に励まされる」と全国からたくさんの反響をいただいています。テレビにはテレビの良さがあり、WEBにはWEBの良さがあります。1つの取材ソースをマルチに展開していくことの大切さを「#乳がんダイアリー」を通じて、強く感じています。