Q 悩みがありません……
30歳にもなって悩みがありません。これって人間としてダメでしょうか。悩む動物っているんですか? (30歳・男性・不動産業)
A 実に羨ましい人生ですが……
まず結論から言えば、悩みがないということは、人間として、実に羨ましい人生だと思います。
動物の場合、自然環境という過酷な競争社会に生息しており、あーしようか、こうしようか、という悩みを抱えている余裕なんてありません。進化によって生き残った遺伝子のプログラムによって、自然環境の様々な場面でとるべき行動が決められています。つまり野生の動物の場合、「悩む余地」はないのです。
人間は、その生き方に悩む余地のある唯一の動物と言えます。人間が「悩み」を持つようになったのは、類人猿から進化して、道具や言葉を使うようになり、コミュニケーションを他個体と取り合うようになってからだと考えられます。
すなわち、集団として狩りの戦略を立てたり、先人から経験を受け継ぎ、後世に経験を伝えたりするなど、過去から学び、将来のために考えるという思考回路を発達させるに連れ、「ああするべきか、こうするべきか」という「悩み」をもつように進化したのではないかと想像されます。
さて、悩みがない、ということは、まさに野生動物と同じくやるべきこと、生きるべき道が既に決まっていて、何しようかなんて考える余地がない、という状態をさします。相談者さまは、どうですか? もう実は自分の生きるべき道が出来上がっていて、悩む必要がないのではないでしょうか? であるならば、むしろ、実に充実した人生を送っていると言えるのかも知れません。
でも、既に悩みがない、というお悩みをお持ちですから、やはり、相談者さまも立派に人間という動物であることは間違いないと思います。
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