「皇族数の減少等については、皇族方のご年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であると認識しております。即位された後、というふうに考えています。そんなに時間を待たないで、というように思っています」
菅義偉官房長官は3月19日午前の記者会見でこう述べ、5月1日の新天皇即位後、皇位の安定継承策について速やかに検討に入る意向を示した。2017年に成立した天皇の退位を実現する特例法は、付帯決議で「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等」を挙げて、法施行後、速やかに検討して国会に報告すると明記しているからだ。
政府関係者が語る。
「女性宮家をめぐっては、旧民主党の野田政権が論点整理を行い、女性皇族が結婚後も皇籍にとどまる女性宮家創設案と、結婚して皇籍を離れても皇室活動を続ける2案を併記しました。制度改正を最小限にとどめるため、いずれも対象を『内親王』に限定し、三笠宮家や高円宮家のような『女王』は対象外としました」
女性宮家の創設案については、女性皇族の夫と子供を皇籍に入れる案と、入れない案の両論が併記されたが、安倍政権内には「女性宮家を認めると民間人の夫やその子供が皇族に加わり、母方が皇室の系統を継ぐ女系や女性の天皇を容認する議論につながりかねない」との警戒論がある。「保守層」と呼ばれる安倍晋三総理の支持基盤には男系男子の伝統が変わることへの反対論が根強い。
このため、女性宮家の検討は後ろ向きな“結論ありき”のものとなるという見方が有力だ。