布団から出られないことだってあるのに
何らかの事情により精神的・体力的に追い込まれている状況下で、自然と好きなことややりたいことが頭に浮かんでくる人はおそらくほとんどいないと思います。毎日、とにかく現状を維持することに必死である場合、少し先の未来のことを考える余裕なんてなかなか生まれないでしょう。
疲弊している人たちにとっては、健康的な体づくりのためにランニングをするとか、精神衛生を良くするために常に家を綺麗にしておくとか、栄養バランスのいい食事を作るとか、一般的に見れば「お金をかけずに今すぐ始められる」ように思える未来への投資ですらハードルが高く、休みの日には布団から出られないこともざらにあるのです。
そんないっぱいいっぱいの状況で「やりたいことを……」と執拗に迫られるのは、以前の私がそうであったように、さらに自分を追い込んでしまう原因にもなりうるし、ある意味地獄であるとも言えます。
そもそもそのような状態で無理やりひねり出した「やりたいこと」が本人にとって本当にそうなのかどうかは疑問ですし、「若いうちに」とむやみやたらと焦らずとも、ある程度心身ともに落ち着いてから、ゆっくり考えても決して遅くはないんじゃないかと個人的には思います。
自分の居やすい場所やリラックスできる時間を確保する
とくに私の場合は心身の不調で会社を退職したものの、生活費もろもろを稼ぐ必要があったので「やりたいことは一旦置いておいて、在宅ワークでもできる仕事をしよう」と思い、ライターの職業に行き着きました。結果として、たまたま私の「やりたいこと」に繋がったので今もこの仕事を続けて、やりがいもそこそこに感じられています。
しかし、退職した当時の弱り切った私がどれだけ「やりたいこと」を考えても、明確な答えが出ることはありませんでした。あくまで私が今やっていることは、退職後の半年ほど、貯金を切り崩しながら療養し、ゆっくりと自分の生きやすい働き方を模索したおかげで出会えたものだと思っています。だから、今やりたいことが見つからないと悩んでいる人も、決して焦らず、まずは自分の居やすい場所やリラックスできる時間を確保することから始めてみてはどうでしょうか。
悩める若者たちから相談があったとき、もちろん個人の事情によって内容は変わるものの、だいたいこんな風に答えています。
家族を作って幸せに暮らすことや、稼いだお金でおいしいものをたらふく食べることに生きがいを見出すもよし、仕事以外の時間は趣味に生きることを選んでもよし、ひたすら寝ることに幸せを感じるもよし。それぞれがストレスなく生きていくことができるのであれば、何も「生きがい」を仕事だけに見出さないといけないということはないんじゃないでしょうか。