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米国育ちの24歳・加藤豪将、メジャー目指す躍進の陰に松井秀喜氏のアドバイス

今季はすでに7本塁打。打撃開花した理由とは

2019/06/16
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 過去6年間でシーズン6本塁打が最高だった。それが今季は開幕からの22試合で7本塁打を放った。米大リーグ、ニューヨーク・ヤンキース傘下の3Aスクラントンでプレーする加藤豪将(ごうすけ)内野手(24)はプロ7年目を迎え、これまでにない手ごたえを得た。初の大リーグ昇格を目指し、奮闘を続ける。

今季のオープン戦には招待選手として参加した ©getty

松井氏の言葉がきっかけ

 カリフォルニア州の高校から2013年のドラフト2巡目(全体66番目)で名門ヤンキースに指名された。上限の40巡目までを使い切るドラフトでの2巡目指名だから、いかに高評価だったかが分かる。昨季まで目立った成績を残すことはできなかったが、マイナー最高位の3Aで初めてプレーした今季、開幕から好成績を残して注目を浴びる。

「パワーがあるのは分かっていた。ただそれをどうやって使うのかが分からなかった。今はそれが少しずつ分かってきました」と加藤は話す。

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 きっかけは2Aトレントンでプレーした昨季にあった。ゼネラルマネジャー特別アドバイザーとしてマイナーを巡回する松井秀喜氏の言葉だ。昨季ほぼ3A専属だった松井氏が2Aに足を運んだ回数は少なかったが、加藤はその機会を逃さなかった。自分の打撃の映像を松井氏に見せ指導を仰いだ。指摘されたのは「ボールとの距離を取る」ということだった。

現在はヤンキーズでGM特別アドバイザーを務め、傘下のマイナーチームで指導する松井秀喜氏 ©Kotaro Ohashi

「オフシーズンの練習があったから」

 松井氏は「当てるのはうまいが、力が伝わっていなかった。『打つ瞬間にもう少し手を体から離してもいい』とは話した」と説明する。テークバックのいわゆるトップの位置が深くなるような改善を指導したようだ。

 加藤は「打撃の感覚は本当に言葉で伝えにくいもの。松井さんはあまりいろいろ言わないのですが、その感覚を『こういう感じ』と言うとそれだけで分かる。やっぱりすごいです」と振り返る。

「シーズン中に変えようと思ったが、毎日試合があり難しかった」こともあり、その実践はオフシーズンの宿題となった。キャンプ地のフロリダ州タンパで約3週間、マイナー選手の「打撃キャンプ」に参加。松井氏の指導を取り入れ、打撃コーチらと新たな形を追究した。「シーズンが始まっていい結果が出たのは、オフシーズンの練習があったから」と実感している。