和田彩花は卒業後どうするのか?
《アイドルって周りのみんなが作ったものだからこそ、いろんな目線や思惑がたくさん入り混じっているんです。そして、そこにあるのはおそらく本来の自分の姿ではないとも思う。でも、今はインターネットで情報が筒抜けになる時代じゃないですか。私も私のグループも「個」というのをはっきり持っているし、だからこそ「作られたアイドル像」みたいなものに違和感を覚えるんですよ。もっともアイドルとしての私は最初から包み隠さずやってきたつもりだし、アイドルのイメージに縛られるという葛藤はあまりなかったですけどね。アイドル的なイメージを、あえて自分たちで作らないようにしてきたとも言えるかな》(※2)
自分たちでプロデュースすることを常に心がけてきた和田ならではの発言である。「私もグループも『個』をはっきり持っている」という言葉も見逃せない。『アンジュルムック』で彼女は、アンジュルムにいて一番強く実感したこととして「人はみんな違う」ということをあげた。《みんなが一致していくことがすごく難しいことも体験したし、そこにきちんと向き合わなければバラバラになってしまうという経験もしましたし。だからこそ、そういうときにどうしていけばいいのかということをアンジュルムにいてすごく学ん》だというのだ(※3)。前出の菊池亜希子は、そんなふうに違う個性を認め合う“和田イズム”がほかのメンバーにも理解されているからこそ、彼女が卒業してもアンジュルムにはまったく心配していないと語っている(※2)。
和田自身も、自分が卒業したあとのアンジュルムのことは《なにも考えてないです。みんなに任せっきり。好きにやってほしい》と言い、卒業を発表してからの1年間、自分のことを考える時間が増えたという(※4)。卒業後は在籍する大学院で勉強を再開し、修論を仕上げたり、マネを通じて好きになったフランスにも行くつもりだと話す。
芸能活動は1年間休止する予定だが、すでに再来年には活動を再開するべく、さまざまな夢を描く。とりわけ熱っぽく語っているのは、《ただただ踊って歌う、ではなく、メッセージも含めて、ひとつのステージとして表現したいし、ひとつの作品として表現していきたい》と、ステージ上で総合芸術をつくることだ(※3)。アイドルの在り方の解釈を多様にすることが、その一番の目的だという。アーティスト志向でありながらも、立場としてはあくまでアイドル。そんな唯一無二の存在として、和田彩花には今後も目が離せない。
※1 『IDOL AND READ』005
※2 『月刊エンタメ』2019年7月号
※3 アンジュルム・蒼井優・菊池亜希子『アンジュルムック』(集英社)
※4 『CDジャーナル』2019年5・6月号