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「ブレんじゃねえぞ!」

 前出の『ゆうべはお楽しみでしたね』で演じたゲームに没頭するヒロインもまた、「ひとつのことに集中すると周りが見えなくなる」点で共通する。こうしたオタク系な役柄は、より彼女の素に近いのだろう。2017年放送のドラマ『わにとかげぎす』(TBS)では、有田哲平演じる冴えない中年フリーターに恋して1人で盛り上がってしまう小説家志望のWEBライターを演じ、妙にリアリティがあった。最近ではまた声の仕事も目立つ。NHKのEテレにて不定期で放送されている人形劇『Q~こどものための哲学~』では“Qくん”という少年の、今年4月スタートの少女向け特撮ドラマ『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』(テレビ東京)ではCGキャラ“くまちぃ”の声をそれぞれあてている。来月19日には、やはり声優として出演した新海誠監督のアニメ映画『天気の子』の公開が予定される。

 いまや仕事に趣味に個性を発揮して人気を集める本田だが、『non-no』の専属モデルに起用されたころは、まわりがスターモデルばかりで、そのなかで頑張っていくにはどうしたらいいか、自分の個性は何だろうかと悩み続けたという(※1)。現在の彼女のキャラクターも1日にして完成したのではなく、そんなふうに悩みながらも、自分のなかから徐々に引き出していったものなのではないか。そういえば、本田のブレイクのきっかけの一つとなった先述の缶コーヒーのCMでは、彼女がオーディションを前に、「ブレんじゃねえぞ!」と自分に言い聞かせていた。役の幅や活動の範囲を広げながらも本田がブレないのは、努力の末に見出した個性のおかげなのだろう。

2017年のパリコレ、ロエベのショーに出席 ©getty

※1 『non-no』2018年7月号
※2 「ウォーカープラス」2019年1月9日
※3 『ESSE』2019年6月号