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応援歌「お前」問題 ミュージシャンの視点で考えた歌詞の“二人称表現”について

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/07/04
note

双方の思いを尊重しながら

「足を運んでくれる者」「金銭を運んでくれる者」「視線を送ってくれる者」「声援を送ってくれる者」そういった者たちに「その運び方はどうだ」とか「その送り方はどうだ」と言ってしまえば、その足は、その声援は遠のいてしまわないのか。東北楽天イーグルスを含め、昨今SNSを賑わす「応援のあり方」。繰り返しとなるが、やはり発し手、受け取り手それぞれのスタンスのあり方に真理が隠れているように思えてしまうのだ。

 ORIX Buffaloesの球団歌「SKY」の冒頭は「君の声よ遥か届け」であるし、「calling」の冒頭は「ヤツの上腕繰り出すスライダーとカーブ」である。「お前の声」では無いし「彼の上腕」でも無い。「不適切だから変えてくれ」と言われれば「いや、ならば別の曲作りますよ」としか言いようが無いのだ。そう言った意味では中日応援団の「自粛」という選択は正しかったとも言えるだろう。発し手、受け取り手双方の意見を尊重した上での決定だったのだから。
 
 野球が日本の文化であると同様に応援もまた文化である。願わくば「応援する方」「応援を受け取る方」双方の思いを尊重しながら、未来へ誇れる文化として成長していけたら良いなと願っている。

野球の「応援」が未来へ誇れる文化として成長していけますように

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