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スランプの清宮幸太郎は、これからどんな“物語”を築くのだろうか

文春野球コラム ペナントレース2019

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清宮はこの先どうなっていくのか

 ファイターズは育成力に定評のある球団だが、僕の印象を言うと(バッティングに関しては)あんまり教えない。プロに入ってくる選手だからそれぞれ良さがあるのだ。それを殺さないようにしばらくそのままやらせる。特に清宮のような黄金ルーキーは絶対にいじらない。もし、いじってダメになったら誰が責任を取るのか。

 これは誤解の多いポイントだけど、いいコーチは教えないのだ。悪いコーチほど教える。教えすぎる。いいコーチは教える代わりに見るのだ。いつも選手を見ている。選手が何を感じ、考えているか知ろうとする。そして待つのだ。教えないで待つ。根気が必要な仕事だ。選手は押しつけたら耳をふさいでしまう。また言われてやったことは身につかない。自ら求めてくるまではじっと動かない。いちばん大事なことをいちばん適切なタイミングで渡してやる。

 自分のバッティングを見失った清宮幸太郎は、逆にいえば成長のためにいちばん大事な時期にある。金子誠、城石憲之両コーチが居残り早出につき合ってくれている。矢野謙次特命コーチが絶妙な距離感でそれを見ている。これは現在進行形の出来事だからこの先どうなっていくのか僕にも見当がつかない。

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 王柏融、平沼翔太が戻ってくるタイミングでいっぺん2軍に落とされるのか。あるいはここから起承転結の「転」が来て、首位ソフトバンク追撃の核となるのか。選手のいいときばっかり見ていても何も見えて来ない。清宮幸太郎はいずれこの弱さを乗り越えるだろう。彼のなかから何が出てくるか僕は期待している。

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