サブキャラの薄さとストーリーのぶつ切り感にモヤモヤ
なつを取り巻くイケメン勢は、幼なじみ・天陽(吉沢亮)の結婚、その使い勝手の良さからSNSでは“アレクサ”とも称される信哉(工藤阿須加)の帯広転勤、一瞬で別の人と恋に落ち、鮭を運ぶ熊と化した照男兄ちゃん(清原翔)と、皆がみずからの都合でなつの前から姿を消す展開に「都合良すぎじゃね?」との声も。が、これはあの変人となつとの未来を考えると仕方ない……ん、仕方ないのか? 今は転勤先の帯広で、信さんが優しい人に感謝されながら幸せになることを祈るばかりです。アレクサ、これまでよく頑張った。そして天陽の兄・陽平(犬飼貴丈)は唐突に出てきて衝撃発言するのをやめなさい。
これらサブキャラクターの描かれ方の薄さに加え、エピソードがブツブツ切れてしまうため、視聴者も登場人物に感情移入するのが難しい。ここにきて冒頭から引っ張ってきた「生き別れの妹・千遥(清原果耶)との再会問題」が少しずつ動き出しましたが、前振りがいちいち長かったため、「なつも咲太郎もこれまでそんなに真剣に妹のこと探してないよね?」と心のどこかにモヤモヤが。
高視聴率の裏に隠れる「視聴熱」の低さ
とはいうものの、『なつぞら』の視聴率は放送開始以来ほぼ毎週20%超え。これは現在日本でオンエアされているすべてのドラマの中で一番高い数字です。が、「ザテレビジョン」がSNSでの反応等、独自の調査で割り出している「視聴熱」を見ると、6月の最終週では視聴率3%台の『きのう何食べた?』や視聴率の低迷ばかりが話題になる大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』に大きく水をあけられ第5位という結果に。
視聴率は断トツに高いのに視聴熱は低め。これ、普通に考えたら「習慣的にテレビはつけているけれど、内容をちゃんと見ていない人」が一定数いるということ。そう「好き」の反対は「無関心」なのです。
放送開始から3か月が過ぎ、ドラマ全体の折り返し地点まで来た『なつぞら』。なかなか決まらない千遥との再会に加え「雪月」の後継者問題や咲太郎の「ムーランルージュ」再建の夢、新劇の劇団に入った雪次郎とレミ子の今後など、ペンディング状態のアレコレも山盛り。これらは最終回までに視聴者が納得できる形で落ち着くのか。あれ、北大に行ったままの夕見子はどうなってる?
そういえば、オープニングナンバーのタイトルにもなっている「優しいあの子」っていつ本編に出てくるのでしょうか。ずっと待っているんですけど……。