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【9区】“しゃべらない男”東海・湊谷の主将らしい走り

西本 湊谷春紀選手は入学時は世代トップ、その後目立たない時期もありましたがようやく主将らしい走りをしました。

西川 1年のときに出雲駅伝で3区を任され、全日本でも好走したんです。ところが1年の箱根1区で撃沈して。そこからは故障があったりとかして2年目は箱根を走れなかった。今年は出雲を走れず、全日本には間に合いましたが、青学の森田選手に差を広げられて落ち込んでいたんですよね。でも今回、最後の箱根は区間2位。秋田出身で修行僧みたいにしゃべらない男です。でも、主将らしいしっかりした走りをしたなと、嬉しかったですね。

【10区】東海大優勝の影に、走らなかった三上あり

西本 ここまで来ると東海応援ムード一色。大手町では西川くん&「GO東海」ボードと一緒に記念写真を撮りたいという駅伝ファンが列を作るほど大人気でした。Twitterの投稿から広まったのですが、今や箱根駅伝はテレビだけで見るものではなく、Twitterもセットなんだということをあらためて実感しましたね。そして東海大のゴールテープを切ったのは郡司陽大選手。三兄弟の末っ子で、長男の貴大選手は駒澤大学から小森コーポレーションへ、次男の真大さんは関東学院大陸上部だったという陸上一家。郡司選手といえば“郡司豚”のこともセットで知ってもらいたい。

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西川 郡司の実家は養豚場で、“郡司豚”というブランド豚を育ててるんです。

西本 この郡司豚のポークジャーキーがめちゃくちゃうまいんですよ。高根沢ハーフの帰りに寄る「二郎ラーメン」はこの郡司豚を使っているそうで、こちらもめちゃくちゃうまい。

東海・郡司の首に注目。2本のネックレスが……

西川 郡司の首元に注目してください。赤と黒、2つのネックレスをつけているんですけど、黒いネックレスは三上のものを借りたそうです(笑)。ちなみに3区の西川雄一朗がつけていたサングラスも三上のです。

西本 8区の“三上水”といい、三上選手のパワーすごいな。東海大の箱根初優勝は、「走らなかった三上」と「GO東海」ボートが後押ししたのは間違いないですね。三上選手の伏線は実は12月10日までさかのぼります。12月10日のチームエントリー時の記者会見では、各大学のマネージャーがスピーチをするのが恒例なんです。各大学の主務が淡々と10000mの平均タイムとチームスローガンを発表して終わるなか、東海大学木村駅伝主務のスピーチだけはすごかった。こういうこともあろうかと、ここに書き起こしておきました(https://note.mu/ekiden_news/n/n3efaf7476861)。

「どうやったら俺たち勝てるんだろうか? そんなんでいいのかよ! また負けちゃうよ! なんのために陸上やってんの!」

 この言葉こそが、三上選手が出雲駅伝で惨敗した後にチームミーティングで発した言葉だったんです。三上選手の言葉がチームを変えたと。木村主務とは「この言葉が三上選手のものだったことは箱根で勝ったら発表できるね」と約束してただけに、このことをようやく発表できます。EKIDEN Newsが選ぶ箱根駅伝MVPは、木村主務と三上選手の絆。これに尽きるかと。

マニア 今回の箱根は最後まで手に汗握る展開で、とにかく「駅伝を見たな」と。充実度がすごかったです。来年彼らがどんな走りをするのか、またここから1年追い続けないといけないですね。

(「往路」もお楽しみください)

写真/西本武司、駅伝マニア(EKIDEN News) 構成/モオ

2019年上半期 スポーツ部門 BEST5

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2位:箱根駅伝、勝負を決めたのは東海大8区“三上の給水”だった――箱根駅伝2019「TVに映らなかった名場面」復路編
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3位:イチローを撮り続けたカメラマンが選んだ「メジャー20年、忘れられない10の名場面」
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4位:八村塁のNBAドラフト9位指名は何が凄い? これだけは知っておきたい3つのポイント
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5位:鳥取一の進学校・米子東をセンバツに導いた「超合理的思考法」とは
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