2019年上半期(1月~6月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。スポーツ部門の第5位は、こちら!(初公開日 2019年1月25日)。
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91回目を数えるセンバツ甲子園の出場校が発表された。
ファンの間でも人気のある星稜(石川)や履正社(大阪)といったおなじみの高校や、激戦の関東地区を制した桐蔭学園(神奈川)など実力校が順当に選出される中で、ひとつ目を引いた高校がある。
中四国地区代表の鳥取県立米子東高校だ。
ベンチ入りメンバーわずか16人の進学校
米子東は毎年100人以上が東大、京大をはじめとする国公立大学へ進学する鳥取一の進学校。もちろんスポーツ推薦制度もない。
こういった進学校のセンバツ大会への出場というと、21世紀枠での出場も多いのだが、今回の米子東は昨秋の大会で倉敷商業(岡山)や開星(島根)といった甲子園常連の実力校を撃破し中国大会準優勝を収め、正真正銘実力での選出となった。
しかも今回のチームのベンチ入りメンバーはわずか16人。特別な練習施設があるわけでもなく、全体練習の時間は平均1日3時間程度。練習環境は多くの地方公立校と変わらない。ではなぜ米子東はセンバツ出場という成果を出すことができたのだろうか?
『捨てる勇気』を説く紙本監督
大きな理由のひとつが、5年前からチームを率いる紙本庸由監督の存在だ。
「夏の大会後にチームに言い続けてきたのが、『何かを捨てる勇気を持とう』ということでした。同じ時間を使うならば、それをいかに効率的に使うのか。『何かをする』ということは、イコール『何かをしない』ということと同意だと生徒には言っているんです。ある時間で『野球をする』ということは、その時は『野球以外のことはしない』ということですよね。いま『何をすべきか』ということはよく言われるんですけど、『何をすべきでないか』の方が大事なんだと思うんです。いま『何をすべきでないか』という発想を持っていれば、野球の試合の中でもそういう思考でいられるんじゃないかと。するべきこととするべきでないことを明確にするということ、それがすべてなんじゃないかと思います」
紙本は米子東高校OBで鳥取大学出身の37歳。現在は同校で体育教諭を務めている。大学まで硬式野球を続けていたものの「神宮なんて夢のまた夢」のレベルで「実績はなにもない」のだという。