レイプ魔から逃げようとした結果、膝から下は何も感じない、動かすことも、体温調節も、排泄も一人でできない…2017年、レイプ事件に巻き込まれて大きな障害を抱えてしまったA子さん(当時24歳)。彼女を車椅子生活にした犯人の男はその後、どうなったのか? 裁判所が下した罰は? 事件の結末をお届けする。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む)
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レイプ男から逃げようとしてマンションから落下…
「人を騙したりすれば、必ずその報いを受けると分かっていて、オレをペテンにかけようとしたんだな?」
何を考えているのか分からないような目つきも不気味だし、片手をポケットに入れている仕草も威圧的で、垣内は居酒屋にいたときとは別人のようだった。A子さんは半ズボンを膝まで脱がされたが、必死でお尻を床につけて抵抗した。少しでも腰を上げたら、全部脱がされそうだったからだ。
「いいじゃん、しようよ。そうやって必死にこらえている顔がまた、たまらないんだよ」
必死に抵抗を試みるA子さんの苦悶の表情さえ、垣内にとっては欲情を煽るスパイスになっているらしい。「このままじゃレイプされてしまう…」と焦った。
「ああもう、いい加減にせんと怒るぞ!」
A子さんは垣内が自分の服を脱ごうとした瞬間に、ベランダに向かって駆け出した。垣内はすぐに追いかけてきたので、携帯を取り出して110番しようと思った。だが、携帯がない。さっきカギを取り出したときに落としたのかもしれない。慌てたA子さんは隣の住人に助けを求めようと、サンダル履きのまま、ベランダの壁によじ登り、仕切り板に腕を回して体を反転させようとした。そのときだ。足を滑らせて落下してしまったのだ。
それから先の記憶はない。次に気が付いたときは病院のベッドの上で、そばには目を赤く泣き腫らした母親の姿があった。A子さんの体には何本ものチューブが取り付けられ、医療器具が作動していた。A子さんは頸椎骨折の重傷を負っていたのだ。
「お母さん。私、膝がどこにあるのか分からない。ちょっと触ってみて…」