母親が触っても、何も感覚がないことから、下半身が麻痺していることが分かった。胸から下は何の痛みも感じない。体温調節もできない。動かすこともできない。排泄も一人ではできないし、食事のときは専用の器具を使わなければならなくなってしまった。今後の回復の見込みもなく、一生車椅子で過ごすことを余儀なくされてしまったのだ。
一方、垣内はA子さんを助けるどころか、事件後は実家に逃走。訪ねてきた警察官に対しても犯行を否認し、「被害者にセックスを迫ったら怒り出し、勝手に玄関から出て行った。実家に帰るとき、被害者が倒れているのは見たが、通報したら自分が犯人にされてしまうと思ったので、関わらないようにした」などと供述した。
「事件は記憶にない」と無罪を主張する男
警察は垣内を強制性交等致傷容疑で逮捕した。さらに被害者を救護する義務があるのに放置したという保護責任者遺棄容疑でも再逮捕した。だが、垣内は「被害者を無理やりセックスしようとしたことはない。事件は記憶にない」と無罪を主張した。
それを裏付けるかのように、垣内の部屋の真上に当たる3階の空き室から、A子さんの携帯電話やカギ、化粧品などが見つかった。A子さんは「犯人の部屋が2階だったか、3階だったかは覚えていない。でも、部屋はガラーンとした感じじゃなくて、人が生活しているような空間だった」と説明した。当時、その部屋はダイヤル式の南京錠で施錠されていた。だが、垣内は「これこそが冤罪の証拠だ。被害者は3階から落ちた」と主張した。
「被害者は大ウソつきだと思います。私は3階など行ったこともないし、被害者を強引に押し倒したりもしていない。事件には一切関わっていないのだから、私は何も知りません。警察には『アンタしか犯人はいないんだよ』と言われ、とてもムカついています」
