かつて警察が動いたにもかかわらず、ふたたび「立ちんぼスポット」としての存在感を大きくしつつある「泉の広場」。いったいどんな女性が春を売り、どんな男性がそれを買うのか…? フリーライターの花田庚彦氏の新刊『大阪 裏の歩き方』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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ホテル街へと消えていく人々
まずは、ブランド品のショップ袋を持ってトイレの前に座りこんでいる、未成年と思われる女性に焦点を絞って観察を始めた。
スマホをひたすら眺め続ける彼女に、何人もの男性が声をかける。女性は男性の顔を見上げるが、一向に立ち上がろうとはしない。タイプではないのであろうか。
30分観察を続けた段階で、声をかけた男は10人以上。中年を中心としたサラリーマン風の人間が多い。
女性に動きが見えたのは、それから約10分後のことである。
若いイケメンの男性が話しかけると、数分の間会話が続く。そして女性はその男性と一緒にホテル街に続く階段を上っていった。
ただ、いかんせん離れた場所から見ていたので、カップルが待ち合わせていた可能性も、ゼロではない(限りなくゼロに近いとは思うが)。読者の皆さんにこの地のリアルをお伝えすべく、別の女性にも焦点を当てることにした。先ほどの女性より前からずっと立っている女性である。