「週に3万くらい稼いでるけど、普通に遊んでいればすぐなくなるわ」――不登校になってから、大阪の観光地「グリ下」界隈で売春とメイドカフェのウェイターを掛け持ちする17歳女性。彼女はなぜレールから外れてしまったのか? 「グリ下キッズ」たちの生態を、フリーライターの花田庚彦氏の新刊『大阪 裏の歩き方』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

大阪の観光地「グリ下」で今、何が起きているのか?(撮影:花田庚彦)

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グリ下キッズの生活費の稼ぎ方

 大阪ミナミにある戎橋、通称ひっかけ橋の横に、グリコの大きな看板がある。大阪観光に来たら、この橋の上でグリコのポーズをして写真を撮るのが定番だ。

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 2020年くらいからはグリコの看板の下に、不登校児や家庭内に問題がある未成年男女が集まるようになってきた。若者を中心とした、グリ下キッズと呼ばれる集団だ。

 新宿のTOHOビル横に集まるトー横キッズの大阪版としてメディアで騒がれたから、いまではすっかり有名だ。

 コデインやマイスリーなどの処方箋依存、ブロンなど市販薬の過剰摂取、未成年売春など、グリ下キッズ絡みの問題は多い。南署や大阪府警本部が取り締まりを強化したが、いまでも居場所を求めてこの地にやってくる若者は少なくない。

 知名度が低いときから筆者のもとには噂が流れていたが、数人から「あそこには近寄らない方がいい」と聞いていたので、取材する機会はあまりなかった。

 しかし、本書のテーマが大阪の裏である以上、避けて通るわけにはいかない。大阪の裏事情に詳しい用心棒勝男から、グリ下によくいたという洋子(仮名)を紹介してもらい、話を聞いた。

 洋子は17歳。高校3年生の年だが、家出をしているから学校には行っていない。同年代の若者がいると聞いて、以前はよくグリ下に集まったようだが、最近ではあまり行っていないのだという。といっても、よくよく聞くとやっていることはあまり変わっていないらしい。

「外国人の観光客が多く集まって、うちらの居場所を奪ったんや。だからグリ下の反対側に集まって、数人で話して時間つぶししている」

 大阪には海外からの観光客が多いし、メディアの影響でグリ下の知名度が上がって、見物人も来るようになった。そのため、一部の若者たちはグリコの看板下ではなく、その看板が見える場所に集まって夜を過ごしているのだ。

 家がないから、毎日泊まるのは友だちの家かネットカフェ、カラオケ。あるいはその日に知り合った男とラブホテルに泊まる。

写真はイメージ ©getty

 売春の客は、どこで集めているのだろうか。