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筒香嘉智が語った、少年野球における「母親の問題」と「お茶当番」――2019上半期BEST5

文春野球コラム ウィンターリーグ2019

2019/08/13

2019年上半期(1月~6月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。スポーツ部門の第1位は、こちら!(初公開日 2019年1月27日)。

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 横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智外野手が1月25日、東京都内の日本外国人特派員協会で記者会見を行い、子供たちを取り巻く野球環境の改善へ、提言を行なった。

 これまでも自身が中学生時代に所属した堺ビッグボーイズの小学生部「チーム・アグレシーボ」の体験会や生まれ故郷の和歌山・橋本市の「スポーツ推進アドバイザー」就任など、機会がある度に野球界の改革を訴えてきた。キャンプイン直前となるこの日は、海外メディアに向かっても、いま日本の青少年を取り巻く野球環境の危機について強く訴える機会を得たわけだ。

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会見場に姿を見せた筒香 ©文藝春秋

 冒頭に「少子化の6倍から10倍のスピードで野球人口が減っている。その中で小さな子供がムリをしすぎて手術をしたり、ケガをして野球を断念する姿を見てきた。そういう野球界がもっと良くなるために」と会見を行なった趣旨を説明。その後に質疑応答が行われた。

筒香が一貫して主張する「勝利至上主義の弊害」

 その中で筒香が一貫して主張し続けていたのが「目先の勝利ではなく、子供たちの将来を見据えた野球環境を作ること」だった。

 特に練習のしすぎや、投げ過ぎによる子供たちの肉体への影響については、慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師が作成した資料を配布。昨年の12歳以下の日本代表15選手のうち、肘の内側障害があった選手が67%の10人だったのに対して、同医師がドミニカで調査した224人の同年代の選手では約18%の41人だったという事例を紹介。

「負けたら終わりのトーナメントではメンバーも固まり、連投や肘、肩の故障も増える。ルールで球数制限や練習時間を決めるべきだと思う」と訴えた。

会見は1時間に及んだ ©文藝春秋

「高校野球が悪というか……」

 また高校野球についても「高校野球は教育の場と言われているが、高校生が甲子園でやっていることは部活動。昨年、球数の問題が出たが、本当に子供のためになっているのか」と踏み込んだ発言をしている。

 球数制限をすれば「野球が面白くなくなる」、相手投手に多くの球を投げさせる“待球作戦”が出るという意見にも「大人が中心になるのではなく、子供の将来を考えてあげることが一番」と反論した上で、高校野球のあり方にもこう踏み込んだ意見を語った。

「高校の部活に大きなお金が動いたり、教育の場と言いながらドラマのようなことを作ったりすることもある。新聞社が高校野球を主催しているので……。(メディアの側にも)子供たちにとって良くないと思っている方がたくさんいると思う。高校野球が悪というか、全てを否定しているわけではないですが、子供たちのためになっていないという思いを(メディアが)なかなか伝えきれていないのが現状だと思います」