同世代女性のSNSに覚えた強い違和感
「ある出版社の担当編集者が、私立校の1つ上の先輩なんです。彼女はバリバリのキャリアウーマン。一方の私は、この20年間どこにいたの? と周りから言われるような、得体の知れない物書き。あの時一緒の学校で同じ時間を過ごした2人が、一度ものすごく大回りして、また出会っていろんな話ができることに、感慨を覚えました。
女性って境界を作りがちですよね。働く/働かない、出世する/しない、結婚する/しない、産む/産まない、という風に。でも40代になって、そういった境界をめぐる戦いもひととおり終焉して各々の輪郭ができてきた。顔を上げれば、同世代の仲間がいる。だったら、私たちって一緒に何かできるんじゃない? と思って」
夫の海外赴任に伴って欧州で子育てをしていた頃、日本のSNSを見て、強い違和感を覚えていた。
「都会で働く同世代の女性のエネルギーの噴出の仕方が、異常に激しかったんです。いつも怒っていて、何かを一斉に集団で叩く。彼女たちは元々頑張れちゃう人たちだから、強いエネルギーを内包しているんですが、その使い方が見ていてしんどかったですね」
「オタク活動」は、そんなエネルギーを、健全に社会を変え、文化を押し上げる力に変える方法だと、河崎さんは言う。
「最初はミーハーでいい。真面目に頑張ってきた女性たちに、イケメンを見たりBLにハマったりすることで、柔らかい感情を取り戻そう、と言いたいんです。軽やかでエモーショナルなのが女性の良さ。それを自覚して引き受けたときに、女は女であることを愛せるようになると思うんです」
かわさきたまき/1973年、京都府生まれ神奈川県育ち。慶應義塾大学総合政策学部卒。時事、カルチャー、子育て・教育などの分野で記事・コラム連載執筆。欧州での暮らしを経て、帰国後は新聞雑誌、WEBメディアなどへ多数寄稿。