5月27日、皇居・宮殿「竹の間」で行われた会見で、皇后はオフホワイトのスーツ姿で通訳を介さずにメラニア夫人と会話をされた。陛下とトランプ氏が会話をしている横で、子どもの教育などについて母親同士ということで話も合い、15分間語り合ったという。
メラニア夫人がテキサス州の子どもの移民収容施設を訪れたことや、昨年の母の日にホワイトハウスで軍人の妻や母親を招待したイベントの際のスピーチの内容も事前に確認されていた。大統領夫人として母親の視点も重要視しているのでは、と考えられたことから、子育てを話題に選ばれたようだ。自然な会話に見えても思い付きではなかったことがうかがえた。
「メラニア夫人の硬い表情も徐々にほぐれたように見えました。皇后さまの積極的な会話と話を受け止められる安心感に、最後はメラニア夫人の方から多く話しかけられていたようです」(宮内庁関係者)
皇后雅子さまは、ホストとして敬意を持たれながら自然な雰囲気を出すために、ユーモアも交えながらもてなされた。それは、海外生活と皇室の中で学ばれた所作でもあった。
27日夜の宮中晩餐会では、陛下は食事に先立つ歓迎の挨拶で、両国の歩みを1854年の日米和親条約から振り返られて、祖父母である昭和天皇と香淳皇后、両親の上皇上皇后と両陛下の3世代と歴代の米国大統領5人の名前を挙げられた。祖父母と両親が築き上げてきた強固な関係を受け継ぎ、これからも守っていくという決意が感じられた。
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友納尚子氏による本記事「皇后雅子さま『外交』デビューの舞台裏」の続きは、「文藝春秋」8月号に掲載されている。