令和の皇后となられ、ご成婚時の輝くような笑顔を、取り戻されつつある雅子さま。
雅子妃 悲運と中傷の中で』(文春文庫)から、新皇后の「あゆみ」を特別公開します。 

◆ ◆ ◆

「塾に行かない・家庭教師もつかない」”小和田家の教育方針”

 それほど打ち込んだソフトボールだったが、雅子さまは勉強とスポーツを見事に両立させ、成績が下がることは決してなかったという。

 世間的には、雅子さまのような華々しい学歴を経るためには、家庭でいったいどのように教育されてきたのだろうと興味を持つ人も多いだろう。よくテレビなどで、難関校に合格した親子の二人三脚の努力秘話などの番組を見ることがあるが、小和田家の場合はそれとはまったく異なる教育方針だった。

ADVERTISEMENT

愛子内親王の学習院女子中等科卒業式に参加 ©JMPA

 雅子さまは海外にいたときこそ、日本語を忘れないようにと補習塾に通ったことがあったが、帰国してからは編入試験の準備以外に、学習塾に行ったことはない。家庭教師がついたことは一度もなければ、母親の優美子さんが付きっきりで勉強を見たということもなかった。励行していたのは、その日に学校で習ったことの復習と宿題だけだという。

ヴァーモント州キリントンのスキー場にて7歳の雅子さま 宮内庁提供

「テレビは1日1時間」 見たのはニュースとセサミストリート

 小和田家と親しいある人物が語る。

「母親の優美子さんは、几帳面な方で日常生活もきちんとしていました。部屋はいつも整頓され、家具や食器などの置き方にもこだわりがありました。お嬢様たちには、小さい頃から勉強をしなさいとはあまり言わなかったようです。ただ、テレビはニュースやセサミストリートなど見たいものだけを決めて、1日1時間以上は見せなかったとか。おもちゃや雑誌、漫画などといったものはほとんど買い与えずに、お誕生日やクリスマスなどの特別な日に限って思い出に残るプレゼントをされたそうです。

8歳のお誕生日に母と二人の妹と記念撮影 宮内庁提供

 ご両親は、お嬢様たちがなさりたいことをすぐに否定するようなことはなく、自由にのびのびとした教育を本当に心掛けられていました。自由というのは野放しにすることなどではなく、反対に親が目を配ったりしなくてはならないものです。親は子どもを信じ手本となるように心掛けていらっしゃったと思います。お嬢様たちもこのようなご両親の姿勢を身近に見てこられて、勉強に限らず学ぶ楽しさやその必要性を感じられたのではないでしょうか」