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雅子皇后「日本文化」に誇りを持ったハーバード大学時代

皇后雅子さま物語 #1

2019/07/10

genre : ニュース, 社会

note

令和の皇后となられ、ご成婚時の輝くような笑顔を、取り戻されつつある雅子さま。
新皇后の半生を徹底取材した決定版『皇后雅子さま物語』(文春文庫)から、新皇后の「あゆみ」を特別公開します。 

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ハーバード大学にご入学 机の奥には妹からの励ましの手紙

 1981年9月、ハーバード大学経済学部国際経済学科に入学した雅子さんは、モスクワに旅立った家族と離れ、「セイヤーハウス」という寮で暮らすことになった。初めての一人暮らし。新しい生活への期待と緊張でいっぱいだったことだろう。

 引っ越しの荷物の中から取り出した辞書類と経済の専門書を机の上に置いて、その横に額に入った家族の写真を並べた。そして、机の引き出しの奥には、妹たちからの大切な手紙をしまったという。手紙には、別れて暮らす寂しさや、姉を慕い励ます文章が綴られていたそうだ。

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マサチューセッツ州立の名門・ベルモントハイスクール卒業した後、ハーバード大学に進学された 宮内庁提供
ベルモントハイスクールではソフトボールチームにも所属されていた 宮内庁提供

 当時、雅子さんは授業の後で立ち寄ったスーパーマーケットで、レジの横に並んで売っている、1ドルにも満たない生活雑誌「ファミリー・サークル」をよく購入したという。高校生の頃にも自宅で定期購読していたことから、料理ページや家庭生活の知恵などを読むことが息抜きだった。なかでもお菓子作りのページに目が止まり、優美子さんや妹たちと作ったケーキやパイを思い出しながら写真を眺めていたに違いない。